骨太の方針2025にも明記 なぜ今CCRC2.0なのか?

「日本版CCRC2.0」は、従来の高齢者地方移住モデルから脱却し、多世代が集う地域共生型コミュニティへと進化した概念だ。骨太の方針では、誰もが生きがいを持って暮らせる場として、3年後に全国100カ所の展開を目指すとしている。本稿では、初期のCCRC1.0から2.0への変化の軌跡を解説する。

CCRCの動向
CCRCの本質と政策変遷

2025年6月に閣議決定された『骨太の方針2025』と『地方創生2.0基本構想」において、「日本版CCRC2.0の展開」が明記された1。具体的には「年齢や障がいの有無を問わず様々な人々が集い、生きがいを持って暮らせる場として、小規模・地域共生ホーム型CCRCを3年後に全国で100 の展開を目指す」とされた2。なお私は5月に地方創生担当大臣主催の有識者会議に招致され「CCRC2.0で加速する地方創生2.0の未来」を報告し、政策化の必要性を唱えた3

本稿では誤解や先入観の多いCCRCについて、そもそもCCRCとは何か、日本での初期のCCRC1.0とは何か、そして今回のCCRC2.0とは一体何かを明らかにしたい。

CCRCとは、Continuing Care Retirement Community (継続的なケアが提供される高齢者コミュニティ)であり、全米で約2000か所、居住者約70万人、市場規模は約7兆円にものぼる。私は2010年に初めて米国のCCRCを訪問した時に、高齢者のQOL(生活の質)向上×地域の活性化×新たなシニアビジネスという個人×地域×産業の「三方よし」に注目し、以来CCRCの有望性を提言し続けている。

ただ国民性や社会制度の異なる米国モデルではなく、日本の社会特性に合致したモデルが必要として、2015年に日本版CCRCの政策提言では、その定義を「高齢者のQOL向上と多世代共創のコミュニティ」とした4。そしてCCRCの立地は、①自宅近くの「近隣転居型」、②中山間地から地方都市の「コンパクトシティ型」、③都市から地方への「地方移住型」、④自宅に住み続ける「継続居住型」と類型化して、「地方移住ありき」ではないとした。

また2017年に上梓した「日本版CCRCがわかる本」では、人のライフスタイルが多様なようにCCRCの立地、価格、居住者像も多様であるべきとした。大切なのは主語であり、それは「地方が」「東京が」ではなく、「私がいきいきと暮らす」という私主語のストーリー性とワクワク感が重要としたのである5

しかし日本におけるCCRCは、地方創生政策として注目されたことから、「高齢者の地方移住」のイメージが強くなってしまった。2015年に政府で設置された「日本版CCRC構想有識者会議」に私は委員として参加したが、「生涯活躍のまち」という名称のもと「東京圏をはじめとする高齢者が、地方やまちなかに移り住み、健康でアクティブな生活を送り、医療・介護を受けられる地域づくりを目指す」と定義された6。これがCCRC1.0である。

この高齢者の地方移住のイメージが「地方に姥捨て山」との誤解や批判を受けることになり、政策の見直しを迫られることになる。2018年に内閣官房に「生涯活躍のまちネクストステージ研究会」、2019年に「地方創生×全世代活躍まちづくり検討会」が設置され、私は両会に委員参加し、政策転換に注力した。そして2020年からの第2期地方創生総合戦略では、「全世代・全員活躍型の生涯活躍のまち」という新名称のもと、「全世代を対象とした居場所と役割のあるコミュニティづくり」と定義され、機能として①活躍・しごと、②交流・居場所、③健康、④住まいの4つが示された7

このように、日本版CCRCは「高齢者の地方移住」から「地元住民を基点にした多世代コミュニティづくり」と政策転換されたのである。

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