民間出身の卓越研究者が結集 山形の有機エレクトロニクス産業
2013年、米沢市に開所した「山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター」。世界トップクラスの人材と設備が集結するセンターは、次世代のエレクトロニクス産業を牽引するポテンシャルを秘めている。
白色有機EL誕生の地
有機エレクトロニクスの領域はディスプレイから照明、トランジスタまで幅広いが、その特徴は「フレキシブル」、「プリンタブル」という言葉にまとめられる。有機物をプラスチックなどの上に蒸着したり、塗布したりして製造することで、薄く軽量で、曲げられる製品が完成する。また印刷技術によって大量生産が可能で、コストも低く抑えられる。これまでにない用途が見込まれる、エレクトロニクス産業の未来を担う技術だ。
この研究開発をリードする地域として注目されているのが、山形県米沢市。1993年に米沢市に立地する山形大学工学部の城戸淳二氏(現・教授)が、世界初の白色有機エレクトロルミネッセンス(EL)を発明したのがすべての始まりだった。
1997年には東北パイオニア米沢事業所が有機ELディスプレイの量産に世界で初めて成功するなど、関連産業の集積が進む。2003年には山形県が「山形有機エレクトロニクスバレー構想」を打ち出し、2010年まで約40億円を投じて有機EL関連の研究を支援してきた。
8年間で産業基盤が整ったことを受け、県は有機エレクトロニクスの事業化・実用化へと支援の軸足を移した。その中核を担う事業化研究拠点として、2013年4月に設立されたのが山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター(INOEL)だ。
民間出身のドリームチーム
INOELの役割は、有機エレクトロニクスの産業化に向けた技術を開発・実証し、その成果を民間企業と連携して商品化することにある。
「有機エレクトロニクスの素材はとても優秀ですが、現在の製造方法ではまだコストが高い。そこで我々は、素材と製造プロセスの両方を研究開発しています。このような研究機関は国内唯一でしょう。現在、有機エレクトロニクス産業は国際的に競争が激化しており、とくに韓国の勢いがすごい。しかし、作り方を工夫すれば、日本が必ず優位に立てるはずです」と、INOELの飯塚博センター長(山形大学工学部長)は意気込む。
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