TYK ピンチを好機に変え、耐火物の世界シェアトップへ

鉄鋼向け耐火レンガ最大手のTYKは、コア事業である耐火物で培った技術を応用し、先端材料や環境分野などの多様な領域で新技術の開発に挑戦している。「研究開発分野の充実はわが社の生命線」と語る会長の牛込進氏に、同社の事業発展の軌跡や、これからの事業構想について話を聞いた。

牛込 進(株式会社TYK 代表取締役会長)

鉄鋼業の発展と軌を一にして
事業の変革と発展に挑む

鉄鋼や製鉄など、製造工程で高温・高熱が発生する産業に欠かすことのできない耐火物。製鉄所の高炉や鋳造設備の内張りに使われるレンガなどが代表例だ。その耐火レンガ専門メーカーから始まったTYKは、1947年の創業以来、常に革新的な技術開発を続け、機能性耐火物で世界トップシェアを誇る企業として歩みを進めてきた。

「当社の前身である牛込製粉工場の創業は、1929年。当初は瀬戸や多治見で取れた粘土を粉末状にして製鉄会社などに納入していましたが、1965年頃から鉄鋼向けに低級の耐火レンガの製造を開始しました」と会長の牛込進氏は振り返る。その間、煉瓦会社との合併や東京窯業への社名変更などを経て、会社は拡大の一途を辿った。

しかし、順調に思えた矢先、鉄鋼業界を揺るがす2つの技術革新が起こった。1つは、「連続鋳造法」だ。溶けた材料を連続的に鋳型に注ぎ続け、鋳型内で急速冷却して半製品を取り出す鋳造法で、これにより鋼の歩留りや生産性は大幅に向上した。

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