時事テーマから斬る自治体経営 「権限移譲」の注意点
国から地方公共団体、都道府県から市町村などへの「権限移譲」が近年増えつつある。市町村の場合は、権限移譲により、もともと都道府県が行っていた業務や行政サービスを主体として担えるようになる。一見メリットが多そうに思えるが、そこにはどのような課題があるのだろうか。
最近、筆者に「権限移譲」に関する問い合わせが相次いでいる。一概に「権限移譲」と言っても、多様な文脈がある。例えば、国や都道府県から市町村への権限移譲がある。政令市に限定されるが、行政区への権限移譲もある。そして、地方自治体から関係者(特に自治会や町内会等の地元住民)への権限移譲もある。この「権限移譲」は聞こえがよいが、注意すべき点もあると思う。今回は、私見になるが、権限移譲の注意点に言及する。
「権限移譲」の現状
いくつかの都道府県のホームページには、市町村への権限移譲のリストが掲載されている。毎年度、多様な事業の権限が市町村に移譲されていることが理解できる。
某県のホームページには、市町村に権限を移譲するメリットとして、事務の簡素化、事業効率の向上、地域の実情にそった事業実施、申請手続きの事務軽減などが明記されている。確かに権限移譲により、住民に身近な市町村が事業を実施することは、公共サービスを進める上で、多くのメリットが得られると考える。
一般社団法人地方行財政調査会は「市町村への事務移譲の実施状況調べ」を実施している。同調査結果によると、都道府県別の移譲本数では、最も多かったのは静岡県で125本である。次いで、新潟県117本、広島県102本、大阪府100本となっている(2025年7月7日、iJAMP配信記事)。少なくない都道府県が、市町村に対して、積極的に権限移譲を進めている状況が理解できる。
少し古いが、確実に権限移譲を進めるために、条例を用意した事例もある。表は権限移譲(分権を含む)を意図した条例である。表は条例名に「権限移譲」や「分権」が明記されている事例である。条例名に明記されていないが、条文中に言及されているケースもある。
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