地域で愛される価値 ローカルに根ざすブランドや空間が拓く地方創生
地域で愛され、事業を成長させてきた企業が新しい価値を生み出し、社会の課題を解決していく。そんな地方創生のあるべき姿を実現するにはどのような構想、理念が必要か。崎陽軒代表取締役社長の野並晃氏とフィル・カンパニー取締役会長の髙橋伸彰氏に聞いた。
野並晃氏が社長を務める崎陽軒は1908年、横浜駅(現桜木町駅)の4代目駅長であった久保久行が退職後、横浜駅構内営業の許可を受け、創業した。開港によって発展した歴史の浅い横浜に名物を作ろうと、当時、中華街で突き出しとして出されていたシュウマイを「冷めてもおいしい」にこだわり、かつ車内でも食べられるよう小ぶりにしてできたのが崎陽軒のシウマイだ。「外から入ってきたものを地域の中で吸収し、自分たちなりの工夫を持って広げていくのが横浜の特徴。弊社も、自分たちのアイデンティティを横浜、神奈川から発信し続けていきたい」と語る。
髙橋伸彰氏は2005年にフィル・カンパニーを創業した。創業にあたり、駐車場上部の空間を活用して建物を建て、テナントを誘致することで、土地オーナーにはさらなる収益機会を。テナントには好立地の出店場所を提供し、その地域には活力を生む、すべてがウインウインのビジネスモデルを創りあげようと考えたという。2016年に当時の東証マザーズに上場し、当該事業は、関東、関西の市街地を中心に、全国270カ所で展開している。また、郊外では、趣味、ビジネス、セカンドハウスなどの用途で、ガレージと住居スペースが融合したメゾネットタイプの賃貸住宅を提供するガレージハウス事業も242ヶ所で展開している。
地域に育てられ、
地域課題解決を目指す
田中 崎陽軒が創業来大切にしてきた考え方について教えてください。
野並 私たちは、数ある選択肢の中から横浜の地を選んで創業したわけではなく、横浜駅で商売をしてよい、と場所を与えていただいた立場です。ただ、東京では3代住んで初めて「江戸っ子」と名乗れるのとは対照的に、横浜は3日住めば「ハマっ子」という仲間意識の強さがあります。そういう意味で弊社は創業から現在に至るまで横浜のみなさまに育てていただいている会社だと思っています。「横浜のおいしさを創りつづける」というスローガンを掲げているのもそのような地域性を持つ横浜で商売をさせていただいているという思いがあるからです。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り68%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。