予測不可能性を超え、事業をつくる 未来を構想する力

数年〜数十年先の未来を考えるカギとなるのは、理想からさかのぼって考えるバックキャストだ。今、新ビジネスを構想するベンチャー企業は、技術的側面と同時に社会課題の解決も視野に入れている。事業を継続し、未来を創り続けるために、経営トップにはビジョンを作る力が求められる。

数十年後の人類の未来については様々な予測がなされている。共通しているのは「これまでの延長上にはない」ということ。その背景にあるのが、化石燃料に依存した人類の活動の結果として生じている地球温暖化だ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、「1.5℃特別報告書」を2018年に公表した。産業革命以前からの気温上昇を1.5度に抑えるために、温室効果ガスの削減が強く求められ、日本を含む世界各国が、二酸化炭素の排出を実質ゼロにする年の目標を相次いで公表している。

世界平均地上気温の変化

予測には幅があるが、IPCCは2040年までに世界の気温が産業革命以前に比べ1.5度、上昇すると予測して いる。豪雨や干ばつなどの気象災害は激甚化しており、気候変動への対応へ残された時間は少ない

注:1986~2005年平均からの変化。
資料:IPCC「第5次評価報告書統合報告書政策決定者要約」より環境省作成

 

地球を持続可能にしながら
豊かな人類社会を実現する構想

一方で世界人口は増加しており、新興国では豊かで快適な生活を享受する人が増えている。持続可能性と生活レベルの向上を両立させる、新しい未来の構想が求められるところだ。

世界の地域別・人口の年平均増減率の推移(2000~2100年)

世界人口は増加しているが、増減率のピークは既に過ぎている。国連の予測では人類の総数は2050年には 97億人、2100年には109億人に達する見込み

出典:UN, World Population Prospects : The 2019 Revisionを基に総務省統計局作成

 

事業構想大学院大学教授の松本三和夫氏は、理想の姿からバックキャストして構想を作り、それに基づいて未来を創っていく重要性を説く(こちらの記事)。持続可能な開発目標(SDGs)のベースにある理念は、技術に偏らない未来の姿を人間観や社会観から作っていこうというもの。次世代の事業のための生産財といえ、未来や事業を考える人にとって引き続き極めて重要だ。

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