共感を創造し、「同志」を集めよ ソニー・ホンダに学ぶ事業構想

事業構想をたった一人で成し遂げることは難しい。構想に共感する"同志"との共働が必要となる。創業からわずかな期間で世界的な企業にまで躍進したソニーとホンダの共通点は、経営者の傍らに、その構想に惚れ込み強い共感を抱いた同志が存在したことだった。

共感がキーワード

事業構想において最大限の成果を収めるには、主導しているリーダー一人の行動だけでは限界がある。リーダーのまわりに共感し共働する人が必要となる。

共感を覚える者は、上司であったり、同僚や部下であったり、社外の理解者であったり、あるいは家族であったり、と状況によりさまざまなケースが考えられる。

事業構想を成功させるためには、最低一人、共感を抱いてくれる"同志"が必要だ。できれば、複数の"同志"の共感を得たい。

「共感」とは、他人の感情や心的状態、意見などを、自分もまったくその通りだと同じように感じたり理解したりすることだ。

ソニーの共感

戦後立ち上がった企業で、画期的な事業構想を実現し、創設から10年あまりで世界的な企業にまで躍進した代表格が、ソニーとホンダである。

井深大氏は、1946年に盛田昭夫氏らとともにソニーの前身である東京通信工業(東通工)を創立した。当時から二人は、互いの能力を認め合い、相手に対する強い共感を覚えていた。会社発足からしばらくして、技術面を井深氏が、営業面を盛田氏がそれぞれ統括することで役割分担を明確にし、事業を拡大していった。

井深氏が起草した東通工の設立趣意書の、経営方針にこうある。「極力製品の選択に努め、技術上の困難はむしろこれを歓迎、量の多少に関せず最も社会的に利用度の高い高級技術製品を対象とす。また、単に電気、機械等の形式的分類は避け、その両者を統合せるがごとき、他社の追随を絶対許さざる境地に独自なる製品化を行う」。すなわち、技術力を活かして既存の大手電機メーカーが手をつけない独創的な製品を我々は開発するべし。そのように打ち出しているのだ。

そうした製品の第一号として開発されたテープレコーダーは、東通工の躍進の起爆剤となった。

50年8月、東通工は日本初のテープデッキとテープを開発し、テープレコーダーG型として販売を開始した。開発のきっかけとなったのは、占領軍が使用していたテープレコーダーを見た井深氏が、「これだ」と直感したこと。

開発は井深氏の陣頭指揮で進められ、できあがった製品の販売を担うのが盛田氏だった。

当時の日本ではまだテープレコーダーはなじみが薄かったので、どういった市場に売り込むかが課題だった。米国では語学教育に活用していることを知った盛田氏は、自ら小学校などに赴きテープレコーダーの操作方法を教えながら、販売に力を入れた。こうして盛田氏は、それまで存在しなかった市場を開拓し、その市場で製品の使い方を教えるという、"市場の教育"を行った。

井深氏と盛田氏の二人が互いに共感しあったことで、新しい商品が開発され、新しい市場が開拓されたのだ。

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