社会を幸せにする事業の構想法 理想が未来を創る

より良い将来のためには、目前の社会へ適応するよりも、理想に照らして未来を創る行動の蓄積が重要だ。新規事業の構想では、「ありたい」未来をベースにした正のバックキャスティングのほか、技術的なイノベーションのみにとらわれず、「ありたい」社会を大胆に想定することが求められる。

「過去の未来予測を現在、振り返ると、当たったものとそうでないものがあります。その中でも私が注目したいのは、19世紀のイギリスの著作家、H.G. ウエルズの予測です」。

松本 三和夫 事業構想大学院大学 教授

事業構想大学院大学教授で社会学者の松本三和夫氏は、こう語る。ウエルズは「透明人間」や「タイムマシン」などのSF小説で知られるが、第二次世界大戦が勃発する時期を半年の誤差で予測したほか、原爆の登場も予測した。また、米国の技術者、ヴァネヴァー・ブッシュは太平洋戦争終結の直前に大統領に提出した報告書で、戦時の「軍産学連携」の経験から、現在の産学連携の基となるようなアイデアを出していた。ただし、ウエルズもブッシュも、外した予測も多い。

「未来予測では、予測を当てることはかならずしも重要ではありません。むしろ、予測する行為を通じて、未来に寄せる期待や理想が明らかになり、それに照らして実際に未来を創っていく足元の行動の集積が大切です。これは社会学では、『自己成就的予言』と呼ばれます」。

図 自己成就的予言

出典:Ackerman,2008を元に編集部作成

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