革新的事業を生むクリエイティブ組織と思考法11例

クリエイティブ力で革新を起こしている企業は、どのような経営方針や体制で事業開発に挑んでいるのだろうか。デザイン経営を推進する大手企業や、クリエイティブな発想やデザイン経営をもとに斬新なプロダクト・サービスを開発した事例を紹介する。

ビズリーチ
経営直下に「デザイン本部」を設置

即戦力人材と企業をつなぐ転職サイト「ビズリーチ」などを運営し、転職市場に「ダイレクトリクルーティング」という新たな可能性を開いたビズリーチ。同社は2018年2月、経営の中枢にデザイン本部を組成し、クリエイティブ部門の最高責任者であるCDO(チーフ・デザイン・オフィサー)の配下で、デザインと経営を接続する改革を本格的に開始。2020年2月、グループ経営体制に移行し、新たに誕生したVisionalグループにてHR Tech領域やSaaS事業を担うこととなった。

現在、グループ全てのデザイン業務を管轄するデザイン本部には、70名のデザイナーが在籍している。デザイン本部内は、各プロダクトのUX/UIを司る「プロダクトデザイン室」、グループ全体の顧客接点を司る「コミュニケーションデザイン室」、デザイン組織の推進を司る「デザインプログラムマネジメント室の3部門で構成され、プロダクトデザイン室・コミュニケーションデザイン室に所属する社員は、組織横断的に各プロダクトに携わっている。

ビズリーチのデザイン組織図

LIFULL
クリエイティブ戦略で社会課題を解決

LIFULLは、日本最大級の不動産ポータルサイト「LIFULL HOME'S」の企画・運営など、人生・暮らしを豊かにする様々なサービスを提供している企業だ。コーポレートメッセージに「あらゆるLIFEを、FULLに。」を掲げるソーシャルエンタープライズとして、ビジネス×クリエイティブ×テクノロジーで社会課題を解決する事業をつくることを重点戦略に位置づけている。

2017年4月の社名変更を機に、クリエイティブ組織の強化を図ってきたLIFULL。クリエイティブ本部でも中期経営計画を策定しており、社長直下で社会課題の発見・事業創出、Think, Make & Do.広義のデザイン、マスターブランド戦略実行、クリエイティブ経営の推進という4つのクリエイティブ戦略の立案・実行・改善を推進している。

また、社内向けスクールを運営し、テーマごとに座学とワークショップの二部構成でデザインマインドの浸透にも注力している。講義が好評を博し、非デザイナーの社員も多数参加するようになった。

LIFULLはHPでデザインポートフォリオを公開

サイバーエージェント
全社のクリエイティブ意識を向上

サービス開発の主戦場がPCからスマホへとシフトし、アプリの操作体験や機能等のクリエイティブが重要性を増す中、サイバーエージェントでは、これを一層強化するとともに、クリエイティブに対する社員の意識を変える必要があった。

そのため2013年に、代表取締役社長の直下でデザイン戦略室を設立し、各事業のデザイン責任者がクリエイティブのクオリティを管理することを決めた。2015年には、コーポレートブランドと「Ameba」ブランドのロゴを刷新。それらの使用時はクリエイティブ統括室への確認を要することとし、社員の意識改革を促進した。2016年には、ミッションステートメントに「クリエイティブで勝負する」の一文を追加し、クリエイターの採用にも注力している。

これらの取り組みの結果、デザイナーがチームを牽引して経営層に提言する機会が増加した他、デザイナーの言葉が営業職に派生したり、事業責任者がデザイン的な意見に耳を傾けるようになるなど、全社的にクリエイティブへの意識が浸透してきている。

エンジニア・クリエイターによる技術カンファレンスも定期的に開催

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