島精機製作所 ファッションで培った技術で他業界にも貢献

1962年に和歌山市で創業し、1980年代には世界トップシェアの横編機メーカーに成長した島精機製作所。世界で初めて開発した「ホールガーメント®横編機」は海外の高級ブランドにも採用され、現在もニット業界の最先端を走り続けている。2代目社長の島三博氏に、同社の成長の軌跡や今後の構想を聞いた。

島 三博(株式会社島精機製作所 代表取締役社長執行役員)

衣料を丸ごと編む横編機を開発

島精機製作所の創業者で現名誉会長の島正博氏は、10代の頃から発明に熱中していたという。16歳で手袋編み機の特許を取得し、これまで個人で約650件もの特許を取り、「紀州のエジソン」と称されている。同氏は1962年に島精機製作所を設立すると、1964年に「全自動手袋編み機」の開発に成功した。

「1本の糸でループを作りながら編んだ生地のことを、ニットといいます。経(たて)糸と緯(よこ)糸で反物をつくる織物に比べて歴史が浅く、技術的には高度なものです。それまで手袋は、手の甲や指、口ゴムなど別々に編んだものを手作業でつなぎ合わせていたため、手間がかかる高級品でした。そこで当社は、工場や畑などで働く人がもっと気軽に軍手を使って安全に作業ができるよう、手袋編み機の全自動化に取り組むことからスタートしました」と語るのは、正博氏の長男で、2017年から社長を務める島三博氏だ。

同社はその後、手袋編み機を改良しつつ、その技術を活用してアパレルの世界へ進出。毎年流行が変わる複雑な衿に対応できる「全自動フルファッション衿編機 FAC」で世界の注目を集め、1980年代には横編機で世界トップシェアになった。さらなる転機となったのは、1995年に世界初の完全無縫製型コンピューター横編機である「ホールガーメント®横編機 SWG®」が完成したことだ。

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