2021年7月号
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連載 SDGs時代の都市経営

フィンランド・トゥルク市 循環経済の実践による地域振興

内田 東吾(イクレイ日本 事務局長)

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フィンランドの南部に位置する港町、トゥルク市は1990年以降、循環経済への移行を進めエネルギー供給システムの改革や産業育成への投資を図ってきた。周辺の外的環境を勘案しつつ地域資源の強みを生かし、長期的視野に立って進められた環境・経済政策に学べることは多い。

前回は、アメリカのボストン市の事例を取り上げ、民間企業や大学・研究機関と協働した計画策定の仕組みとその過程で収集・蓄積された各種データについてわかりやすい形で広く市民に公開されている例を紹介しました。今回は、フィンランドのトゥルク市の事例を紹介します。

フィンランド・トゥルク市の
産官学の協働

1.概要

・フィンランド南西部に位置し、国内有数の商港・フェリー港であるトゥルク港を有する。面積306.41km2(陸上:245.7km2、島嶼部:60.71km2)。

・人口約19万人。フィンランドで6番目の規模となる中核都市であり、最も古い都市でもある。複数の大学やそのキャンパスがある他、文化的な中心地でもある。

・トゥルク都市圏の中心都市(都市圏 人口は約35万人)。

2. 背景と取組 ~循環経済の実践で地域経済を活性化

トゥルク市を有するフィンランドは、豊富な森林資源を活かした森林産業を基幹産業としてきましたが、第二次世界大戦以降は、金属・化学・精密機械分野を中心とする製造業が発展を遂げ、近年は、NOKIA社に代表される情報通信産業が主要産業の一角をなしています。こうした産業の転換や多角化は、石油ショックや旧ソ連の崩壊、リーマンショックを受けた不況などの危機に際して、フィンランド政府が柔軟に対応してきた結果といえます。

トゥルク市においても、1990年代以降、前述の対外的影響に基づく危機意識から、循環型経済を目指す意識が高まり、伝統的な海運・造船業の他、森林資源を活用したバイオテクノロジー分野やスマートシティ実現を念頭に置いたICT分野への投資が積極的に行われました。さらに、石油ショックや不況といった危機的状況に対応した改革を進める一方で、長期的視点で予見されるリスクとして、気候変動に早くから注目し、再生可能エネルギーへの転換や循環型経済の実現に大きく舵を切りました。こうした将来のビジョンに基づいて一貫した政策を推進してきたことが地域経済の活性化にもつながり(図1)、それにより取組がさらに加速しています。トゥルク市が取り組んできた政策の一部を紹介します。

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