石油を産出しながら吸収する国が抱える矛盾 開発と環境の交差点
ガイアナは石油を生産し、化石燃料によって地球温暖化に寄与する一方で、膨大な炭素吸収源(カーボンシンク)も保有している。
(※本記事は『Global Voices』に2025年6月1日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

南米大陸の北部、面積約21万5,000平方キロメートルに位置するカリブ海沿岸の国ガイアナは、2019年12月に初めて石油の採掘を開始した。これにより、同国の経済成長見通しは急速に上方修正されることとなった。中でも注目されたのが「スタブロック鉱区」であり、ここは過去10年間で最も重要な石油発見のひとつと広く見なされている。可採埋蔵量は110億バレルを超え、ガイアナの経済は当初の予測を大きく上回る成長を遂げた。今や、世界で最も新しい「石油国家」として、さらなる発展が期待されている。
このような極めて大きな経済的恩恵は、人口約83万5,000人のガイアナにどのような影響を与えるのか。また、同国がかねてより掲げてきた持続可能性や気候変動への取り組みと、どのように整合させていくのか。これらの問いに対し、元戦略国際問題研究センター(CSIS)上級アソシエイトであり、カリブ政策コンソーシアムのフェロー、ガイアナ大学の元学長でもあるアイヴロー・L・グリフィス氏が、自著『Oil and Climate Change in Guyana’s Wet Neighbourhood: Probing Promise and Potential Peril(ガイアナの「湿潤な隣人関係」における石油と気候変動──約束と潜在的危機の考察)』の中で分析している。この書籍は6月下旬に刊行予定だ。
筆者は、10冊以上のカリブ地域に関する学術書を著してきた、ガイアナ出身・ニューヨーク在住のグリフィス氏と、ジャマイカ・キングストンのコートリー・ホテルで開催された会議の機会に対談することができた。
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