2021年7月号
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ESG経営の次なるステージ

非財務価値を測る「新国富」という概念 ESGから生まれる事業

馬奈木 俊介(九州大学教授、都市研究センター長・主幹教授)

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健康や教育、自然など、これまで数値化できなかった要素を経済価値に換算する「新国富指標」。金銭に還元できなかった価値が数値化できることで、SDGsやESGの取り組みを定量評価できるだけでなく、新事業のヒントともなる。九州大学・馬奈木俊介教授の講演から紐解く。

馬奈木 俊介(九州大学大学院 教授、都市研究センター長・主幹教授)

GDPに代わる指標の必要性

企業経営・自治体経営の双方で欠かすことのできない視点となったSDGs(持続可能な開発目標)とESG(環境・社会・ガバナンス)。すでに取り組みを開始しているところも多いが、課題の設定や、取り組みの進捗や成果を見るための基準・指標に悩むケースも多いのではないだろうか。

これは、特に企業活動の場合、社会課題解決に資する部分を金銭価値に置き換えることが難しいためだといえる。同様に、国や地域を見る際の指標としても、従来のGDP(国内総生産)のみでは不十分だと馬奈木氏は指摘する。

「例えば、山火事で多くの方が亡くなっても、消火活動や搬送活動によりGDPは増えます。サンゴ礁が破壊されるような建設プロジェクトであってもGDPが増えてしまいます。人命や自然の損失という意味で本来はマイナスであるのに、これを反映していない点が問題です」

2009年に、ジョセフ・スティグリッツ氏らノーベル経済学賞受賞者らが発表した『スティグリッツ・レポート』でも、GDPでは計測できない価値があること、価値をストック(資産)とフロー(収入・支出)に分けて考えるべきであることなどが指摘された。

こうした動きを受け、国連でGDPに代わる指標として提唱されたのが「新国富指標」。馬奈木氏が代表者を務め、持続可能性の評価では健康、教育、自然の価値も考慮すべきだとした報告書『新国富報告書(Inclusive Wealth Report)』がまとめられた。

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