データやノウハウ、知財対象外のものをどう守る?

新事業立ち上げ・起業時に知っておくべき「知財」の基礎知識を、知財啓発の第一人者である稲穂健市氏が解説する本連載。最終回となる今回は、対象外になりそうな知財を守る手法を考える。複数の権利を複合させて戦略を立てることが重要だ。

ポートフォリオ化・知財ミックスで守る

本誌における6回シリーズの連載も、いよいよ最終回となりました。今回は、知財保護の対象外となりそうなものをどう守るかについて取り上げます。

第1回でご説明した通り、それぞれの知的財産権には権利の存続期間が定められています。それでは、権利の存続期間が満了すると、法的な保護もそこで終了となってしまうのでしょうか? 実は存続期間の満了後であっても、他の権利を活用することで、引き続きその対象を保護することは可能です。たとえば、特許権については、コアとなる基本特許の周辺を関連特許で固めておき、複数の特許をポートフォリオ化することで、基本特許の存続期間満了後も残りの特許で他社を牽制することができます。

また、異なる種類の知的財産権による複合的な保護も可能です。これが第2回で解説した「知財ミックス」です。たとえば、ある技術について特許権のみならず、その技術ブランドについて商標権を取得しておけば、特許権の存続期間の満了後であっても、技術ブランドについては商標権による継続的な保護が可能です。

商標権という観点では、商品や包装の形状のデザインを立体商標として保護することも有用です。たとえば、1958年に登場した本田技研工業(ホンダ)の自動二輪車「スーパーカブ」は1969年に意匠権が満了していますが、長年の販売を通じて商品の形状が識別力を獲得したことから、2014年に立体商標の商標権が取得されています(図1)。いったん知財保護の対象外となったものが再度保護されているわけです。

図1 時系列で見るホンダ・スーパーカブの意匠権と商標権の登録状況

出典:意匠公報、を元に筆者作成

 

「データ」は保護できるか

それでは、明確な知的財産権がないものは、どう守っていけばよいのでしょうか? 近年は「データ」をどう保護するかに注目が集まっています。

もちろん、データが言語・美術・音楽などの著作物に該当したり、そのデータ集合が「データベースの著作物」(その情報の選択や体系的な構成によって創作性を有するもの)に該当したりするときは、著作権による保護が可能です。しかし、単に数値や記号などが集まっただけのものについては、著作権は発生しません。また、プログラムに準ずる「技術的創作性のあるデータ構造」等でなければ特許法で保護されることもありません。

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