跡取り娘.comのコミュニティづくり 女性の事業承継者の悩みに伴走

女性活躍と言いながら、まだまだ男性中心の風潮が残る日本企業。女性は日本の企業社会でマイノリティだ。特に、家制度・男性長子相続の伝統が残る中小企業では、女性の事業承継に困難がつきまとう。そんな中で女性の事業承継者をサポートする「日本跡取り娘共育協会」。立ち上げの背景や活動を聞く。

女性の活躍に焦点が当たるなか、女性が家業を継ぐという選択も増えてきている。自ら決断しポジティブに活動する女性起業家や経営者と異なり、父親などから跡取り娘として事業を受け継ぐ女性の承継者には、「周囲のためにやむを得ず継ぐ」「継がざるを得ない」といった状況で、様々な悩みや課題を抱える人も多い。

女性の親族承継者を支援

こうした女性の承継者を支ようと2019年に設立したのが、一般社団法人「日本跡取り娘共育協会」(サービス名:跡取り娘.com)。

「日本の企業の大半を占める中小企業、ファミリービジネスにおいて、女性が活躍する社会になってほしいと希望しています」と話すのが、代表理事の内山統子氏だ。多様性の少ない企業社会の中では、少数派は不利な立場に立たされやすい。自身も、印刷会社の企画部門に勤め、やりがいを感じつつも激務で身体と心を壊した経験を持つ。

内山 統子 一般社団法人日本跡取り娘共育協会 代表理事

「男女差のほぼなかった美大を卒業し社会に出た途端に、女性性というものが前に出されることに違和感を覚えました。会社員時代も、上司や経営層に女性がいれば環境は違ったかなと思っています」と同氏は振り返る。

女性の事業承継者にフォーカスしたのは、ベンチャー企業の役員を経て独立し、ブランディングコンサルタントとして200社以上のクライアントへ提案を行うなかで出会った、父親の事業を承継した1人の女性がきっかけ。

「女性の後継者は、男性と比較して後継者教育を受けないまま、突発的あるいは覚悟していないうちに事業の承継が進んでしまう方も多い。社会課題解決や自己実現に向け、ネガティブをポジティブに変えて突き進む女性起業家とは全く違う問題を抱えています」と内山氏は指摘する。

一方で、跡取り娘は、先祖代々引き継いできた人脈、社員、資本など、普通の女性がゼロから起業するのに比べ、後継者として多くの資産を持ち合わせる。本人が気持ちを整え、経営者として独立するマインドになれば、世の中に対しよりインパクトのある事業を生み出せる可能性は高い。

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