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ラグビーW杯、東京五輪など世界的なスポーツイベントが続き、それらがもたらす地域活性への効果も期待されている。スポーツまちづくりの成否を分けるポイントとは何か。全国各地の事例を調査・研究する拓殖大学、松橋崇史准教授に話を聞いた。
――「スポーツまちづくり」について、どのような視点で捉えるべきなのですか。
松橋 まちづくりの定義は多様であり定まったものはありませんが、様々な人が協力して何かを成し遂げていくという点は共通しています。自治体や地元企業だけでなく、あらゆる人を巻き込んで持続的なまちづくりをすると考えた時に、スポーツは地域の求心力となり、共感や連携・協働を育む基盤になり得ます。
松橋 崇史(拓殖大学 商学部 准教授)
――スポーツまちづくりの成否を分けるポイントについて、どう見ていますか。
松橋 スポーツまちづくりには様々な活動がありますが、「トップスポーツ」に舵を切ったほうが求心力は高まりやすいと言えます。
個々の住民に運動(ウォーキングなど)を促すような健康増進を目的とした取り組みもありますが、その恩恵を得るのは個人であり、結果的に医療費削減につながるかもしれませんが、それで街が賑やかになるわけではありません。そうした健康のまちづくりで、多くの人を巻き込むような新しい展開が見えてくるかと言えば、取り組みに工夫が無ければ難しいでしょう。
トップスポーツの1つの例として、サッカーが挙げられます。2002年の日韓サッカーW杯において、カメルーン代表が滞在した大分県旧中津江村では、現在も同国との交流が続いています。さらに、カメルーン代表が滞在したスポーツセンターは稼働率が約2倍になり、近年もほぼ100%に近い状態になっているそうです。
また、パラグアイ代表が長野県松本市をキャンプ地にしたことがきっかけで、プロサッカークラブの松本山雅FCが生まれました。それらの地域では、スポーツイベントが次の活動へと波及し、広がりが生まれています。
――地域資源の有無は、スポーツまちづくりにどのように影響しますか。
松橋 例えばウインタースポーツならば、それに適した地形を有しているかどうかが影響しますし、イベントを開催するなら、人口が集積する大都市圏に近いほうが有利でしょう。ただ、そうした前提条件に恵まれなくても成功している地域はたくさんあります。
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