低コストの小型衛星ロケットで 誰もが宇宙に挑戦できる世界へ

世界的に高まっている小型衛星と打ち上げ用ロケットの需要。JAXAで長年イプシロンロケットの開発責任者を務めてきた森田泰弘氏が2023年に設立したロケットリンクテクノロジーは、革新的な固体ロケット燃料をコア技術に、低コストの小型衛星用ロケット開発に挑んでいる。

森田泰弘(ロケットリンクテクノロジーCEO)

町工場にもロケットビジネスを

JAXA宇宙科学研究所の研究者らが中心となって2023年4月に産声を上げたロケットリンクテクノロジーは、「誰でも宇宙で活躍できる社会」の実現を目指して、低コストで使いやすい革新的なロケットの開発に挑戦している。CEOの森田泰弘氏は、2003年から現在までJAXA宇宙科学研究所教授を務め、全段固体燃料ロケット「M-Vロケット」や、小型人工衛星打ち上げ用固体燃料ロケット「イプシロンロケット」のプロジェクトマネージャーを歴任してきた、国産ロケットのスペシャリストである。

ロケットリンクテクノロジーのコア技術が、固体ロケットの抜本的な低コスト化を目指してJAXAと民間企業、学術界が共同で開発した「低融点熱可塑性推進薬(LTP)」という固体燃料だ。

「これまでの固体燃料は、熱硬化性樹脂に火薬を混ぜて化学反応で硬化させており、約4週間の硬化時間が必要でした。また、一度固めるとやり直しは効かず、特殊工程かつ大型設備が必要なため大手メーカーしか製造できませんでした。

一方、LTPは熱を加えると溶け、冷ますと固まるという真逆の性質を持ち、しかもやり直しが可能のため、一般工程でも製造できます。製造期間は従来の約10分の1の3日で、製造装置のサイズも10分の1程度に抑えられます。簡単に言うと、下町ロケットの舞台のような町工場で、ロケットのコアが簡単に製造できるのです」

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