地方自治体の宇宙産業育成 ハード・ソフトの強みで差別化

宇宙産業は世界で最も成長する市場のひとつであり、地方自治体の誘致・産業育成に向けた取り組みも増えてきた。鳥取砂丘を活用した屋外型月面実証フィールドを整備した鳥取県と、衛星データ利活用スタートアップを支援する豊橋市の、2自治体の取り組みを紹介する。

鳥取砂丘を、日本発の屋外型
月面実証フィールドに

宇宙産業の育成に積極的な自治体の代表が鳥取県だ。県は「鳥取県産業振興未来ビジョン」に基づく新産業創出の一環として、2021年度から宇宙産業創出へのチャレンジを開始。同年11月に宇宙産業に取り組む・宇宙産業に関心のある県内企業等による「とっとり宇宙産業ネットワーク」を設立し、2022年度は同ネットワークに参画する企業等を支援する補助金制度も創設した。同ネットワークの参加企業・団体は現在100を超える。

「とっとり宇宙産業ネットワーク」には現在100社超が参加している

さらに、鳥取砂丘を月面開発に取り組む国内外の企業・研究者が集まる拠点にすることを目指して「鳥取砂丘月面化プロジェクト」を推進。まず鳥取大学乾燥地研究センターやJAXA、宇宙関係企業と連携して、鳥取砂丘の特性を月面データと定量的に比較し、月面上の限定されたエリアが対象とはなるものの、類似した地形的特徴や砂の強度を持つことを確認した。

その上で2022年末から砂丘における月面実証フィールド整備に着手し、2023年6月、日本初の屋外型月面実証フィールド「ルナテラス」を完成した。月面実証フィールドは約0.5haで、月面に類似する鳥取砂丘の砂(現地の砂)を利用、月面環境を想定した実証実験を行うための平面ゾーン、斜面ゾーン(5度~20度程度)、自由設計ゾーン(利用者自身がそのニーズに応じて自由に掘削・造成可能)から構成。アルテミス計画など月面探査に参画する国内外の企業・研究機関における実証実験の拠点化を目指す。

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