トーフミート 目指すは、代替肉を超越する世界的な商品

植物由来100%の新食材「TOFU MEAT(トーフミート)」を開発・製造する宇部市のトーフミート。日本が誇る伝統的な食文化である「豆腐」をもとに、代替肉としてだけでなく、高タンパク食やハラル・ヴィーガン対応食としても世界市場への進出を狙う。代表の村上氏に、起業の経緯や今後の構想を聞いた。

村上 英雄(株式会社トーフミート 代表取締役)

代替肉市場で注目を集める
「TOFU MEAT」とは

健康志向やSDGsに対する意識の高まりなどの理由から、代替肉の市場が活況を呈している。山口県宇部市に本社を置くトーフミートも、国産大豆を使った木綿豆腐を原料にした挽き肉タイプの代替肉「TOFU MEAT」を開発。2019年12月に開催された「『にっぽんの宝物』JAPANグランプリ」では準グランプリを受賞した。代替肉市場では脱脂大豆を原料としたものが先行しているが、n-ヘキサナールの残留による独特の臭みや、水戻し・湯戻しなどの下処理の手間を嫌う声も多く、これらの欠点をクリアした「TOFU MEAT」は、次世代の代替肉として注目を集めている。

図 n-ヘキサナール値の強度比較


「TOFU MEAT」は、大豆ミートにおける大豆臭の原因となるn-ヘキサナールの95%以上の低減を実現した

出典:山口県産業技術センターの機器を利用し測定

 

トーフミート代表の村上英雄氏は、もともと自動車販売を行う会社員だった。2014年に独立しようとオフィスを探していた際、宇部市に倉庫と駐車場付きの物件があると知人から紹介を受け、「自分たちで使うには広すぎるので、シェアオフィスにしよう」と一念発起。トーフミートの前身となるフェリーチェを創業した。

「山口県のような地方都市はシェアオフィスの需要がないからうまくいかない、と周りからは反対されました。ところがオープンしてみたら、満室続きでいまだに空室待ちの状態が続いています。そして、私が常識にとらわれない“変わり者”だったからこそ、『TOFU MEAT』開発のきっかけとなる、老舗豆腐店を承継する話が舞い込んできたのだと思います」(村上氏)

山口県の職員が、「豆腐メーカーの兼氏食品の事業承継に関心はないか」と村上氏に持ち掛けたのは、起業から2年ほど経った頃のことだ。聞けば、ピーク時には県内に50近くあった豆腐店がいまや数社を残すのみとなっているが、戦前生まれのオーナーが率いる創業60年以上の兼氏食品は、全国でも非常に珍しい製法で豆腐製造を行なっていた。

「オーナーの兼氏佐憲さんに実際にお会いしてみると、『今から豆腐屋を始めるなんて止めておけ』と言いながら、『日本人が豆腐を食べなくなることはないのだから、生き残れば勝ちだ』とも仰るのです。豆腐の製法だけでなく、経営について教えてもらいたい方だと惹きつけられ、事業承継を決意しました」

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