教育系YouTuberの第一人者 誰しも平等に教育を受けられる世界に

教育系YouTuberの第一人者、葉一。若いYouTuberが次々と台頭する中、9年目の古参ながら、小・中学生を中心に支持は厚い。GIGAスクール構想やコロナ禍でのリモート授業などが浸透したことで、親世代や教育者の中でも認知度が急上昇。今、その発言、行動がメディアでも注視されている。

文・油井なおみ

 

葉一(教育系YouTuber)

自分を救ってくれた子どもたちに
恩を返していくために

中学時代、週末は仕事で忙しい両親に代わり、知的・発達障害の妹のケアを担っていた。そのため、部活動を休むことが周囲に理解されず、いじめへと発展。さらに、当時の体育教師が葉一の体形をいじることでエスカレートし、自傷行為に走る時期もあった。

「すっかり教師嫌いになった」という葉一の人生を大きく変えたのは、高校1年生で出会った一人の教師だった。「初っ端に『お前らに好かれるつもりはないから』と言うんです。驚きましたよ。でも、いざ授業となったら板書がものすごくきれいでわかりやすい。それまで得意意識のなかった数学が好きになったくらい。しかも、生徒の話にすごく耳を傾けてくれる先生だったんです」

授業動画を撮る前に授業内容を板書しておく。手書きの美しさにこだわるのは、授業に興味を持ってもらいたいから。高校時代の恩師の影響でもある

いつしか葉一は教師を目指すようになった。恩師の指導を受け、塾には行かずに偏差値を20上げ東京学芸大学に入学。夢一路に進むはずが、3回行った教育実習で現実の壁に突き当たる。

「自分が目指したのは、勉強を教えるだけでなく、生徒のメンタルも支える教師。ところが現実の先生は、聞いていた以上に忙しく、生徒の話を聞く時間もない状態だったんです」

生徒への指針の示し方にも悩んだ。

「多くの学生が進んでいく一般企業での経験なしに、子どもたちの前に立つのはどうなのかなと。そこにも違和感があって。一旦、一般企業への就職を選びました」

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