NTTドコモ AI運行バスとシェアサイクルで地域と共に脱炭素化を推進

NTTドコモは「2030年カーボンニュートラル宣言」を掲げ、パートナー企業や自治体と連携した社会全体のCO2排出量削減に取り組んでいる。地域交通の脱炭素化を実現する「AI運行バス」と「ドコモ・バイクシェア」の2つのサービスを中心に、ドコモの取り組みを紹介する。

2030年カーボンニュートラル宣言

NTTドコモは2021年9月、自社の事業活動での温室効果ガス排出量を2030年までに実質ゼロにする「2030年カーボンニュートラル宣言」を発表した。モバイル通信は基地局の稼働に大量の電力を要し、大胆な推計になるが、日本に存在するすべての携帯電話から排出されるCO2量は、自動車約1000万台分/年に相当する。

「モバイル通信事業者にはカーボンニュートラルを進める責務があります。宣言の実現に向けて、自社のみならず、お客さま・パートナー企業と共に社会全体のカーボンニュートラルに貢献するために『カボニュー』という取り組みを始めました」とNTTドコモ第一法人営業部地域協創・ICT推進室長の池田健一郎氏は話す。

池田 健一郎 NTTドコモ 第一法人営業部
地域協創・ICT推進室長

カボニューでは、①通信ネットワークの省電力化や再生可能エネルギーの積極導入などによる自社事業活動からのCO2排出量の実質ゼロ化、②ドコモショップのグリーン電力化などによるバリューチェーンのCO2排出量削減、③お客さまやパートナー企業との共創による社会全体のCO2排出量削減と、3分野での取り組みを行う。

「特に自治体にとって、地域のカーボンニュートラルはまちづくりと同義であり、DX化と合わせて取り組む必要があります。ドコモでは移動の効率化や地場産業の生産性向上、省エネルギーの推進、循環型社会の実現などに資する幅広いICTインフラ・サービスを保有しており、地域の皆様と共にカーボンニュートラルの実現をめざしていきます」。例えば「ecobuy」は期限間近の商品の購入にポイントを付与するアプリで、地域の小売業と住民が一緒に食品ロス削減や廃棄に伴うCO2排出量の削減に取り組むサービスだ。一次産業分野では、農業向けITセンサー「MIHARAS」を活用することで化学肥料・農薬の使用量削減に伴うCO2排出量削減や、水温や塩分濃度センサーを実装した「ICTブイ」による漁場の状態確認の遠隔化と船舶燃料およびCO2排出量の削減などのソリューションを提供している。

交通領域では、「AI運行バス」と「ドコモ・バイクシェア」の2つのサービスで、地域の脱炭素化に貢献している。

AI運行バスで地域交通の脱炭素化

「AI運行バス」はAIを活用したオンデマンド交通システムであり、リアルタイムに発生する乗降リクエストに対して、AIで効率的な車両・ルートをリアルタイムに算出する。

「少子高齢化や人口減少に伴い、地域ではバスなどの公共交通機関のドライバー不足や利用者減少が深刻です。利用者側も、高齢者ドライバーによる交通事故の多発や免許返納などが影響し、自由な移動が困難になっています。人々を乗り合わせながら効率的な運行を行えるAI運行バスは、2019年の提供開始以来、既存交通手段の代替などを目的に全国27都道府県53エリアに導入されています」とNTTドコモ5G・IoTビジネス部モビリティビジネス推進室の間瀬大樹氏は述べる。

AI運行バスは地域交通の課題解決だけでなく、環境負荷の少ない交通の実現や地球温暖化の解決への貢献も期待されている。「AI運行バスは最適な走行ルートを算出するため、従来のすべてのバス停に定時運行する仕組みに比べ、走行距離の削減が見込まれます。また、車両小型化による消費燃料量の削減効果も期待できます」。ドコモでは路線バスからAI運行バスへの転換によって64%のCO2削減効果があると試算している。

「さらに、データ可視化による車両台数の適正化や運行エリアの改善によって、さらなるCO2削減も期待されます。また、導入地域では利用者の平均25%が自家用車からAI運行バスに移動手段を切り替えており、地域全体の移動量の削減にもつながります」

今後、AI運行バスやEV車両や自動運転技術への対応も視野に入れながら、地域交通の維持と、より環境負荷の少ない移動の実現に取り組んでいく。

シェアサイクルで脱炭素に貢献

NTTドコモグループのドコモ・バイクシェアが提供する自転車とモバイル技術を融合させたシェアサイクルの「バイクシェアサービス」も、地域の脱炭素化に貢献するサービスだ。会員登録を行い、サイクルポートにある自転車にキー登録した交通系ICカードやスマートフォンをタッチすれば手軽に借りることができる。アプリからはサイクルポートにある自転車台数や電池残量を確認でき、利用予約も行える。全国でサービスを提供し、登録会員数は約127万人、サイクルポート数は2080カ所にのぼる。「都市部における二次交通手段や観光地周遊の手段として、サービスの利用は非常に伸びています。自転車はCO2排出量が極めて低く、カーボンニュートラルの実現に向けて大きな役割を担っていると感じます」とドコモ・バイクシェア代表取締役社長の武岡雅則氏は話す。

ドコモ・バイクシェアの今後の脱炭素化に向けた取り組み

新たな取り組みとして、同社はソーラーパネルによる創エネを利用したシェアサイクルの自動充電システムを実証中だ。サイクルポートに太陽光パネルと蓄電池を併設し、電動アシスト付き自転車の非接触充電を行う仕組みで、2022年度からの導入開始を目指す。「従来は自転車をトラックで回収し、人手でバッテリーを交換していました。自動充電システムにより交換業務の効率化に加え、トラック輸送の削減によるCO2排出量削減も見込めます。イニシャルコストはランニングコストで取り戻すことができる、理想的なビジネスモデルを構築しています」

ドコモ・バイクシェアは自社直営だけでなく、自治体や交通事業者などを運営パートナーに全国展開している。最小10台から導入が可能で、アタッチメントを後付するだけで電動アシスト付き自転車のほか電動三輪車や電動カートなどのさまざまなモビリティもシェアシステムに組み込める。

「今後もシェアサイクルの普及に取り組み、交通分担の最適化と環境負荷低減を目指していきます。また、自動充電システムも積極的に普及させ、カーボンニュートラルの実現に貢献して参ります。このほか、自転車後輪の広告スペースを活用してさまざまな企業のCO2排出量削減に向けた取り組みをPRすることも考えています」

NTTドコモはこのように多様なサービスによって地域の脱炭素への取り組みを支援していく。

 

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