福井県庁がSAP Concurを導入した背景と効果
福井県庁はコンカーが提供するクラウド経費精算システムを導入している。ウェビナーでは株式会社コンカーの長谷大吾氏と、導入の実務を担当した株式会社NTTデータ・ウィズの水野敏明氏が登壇し、法改正において自治体が求められる対応と、実際の導入事例について解説を行った。

株式会社コンカー 公共営業部部長 長谷大吾氏
コンカーが取り組む
法改正後の自治体の対応最適化
福井県庁はコンカーが提供するクラウド経費精算システムConcur Expenseを導入している。その状況をもとにウェビナー第1部では、同社の長谷氏が旅費法改正における自治体に対する取り組みについて解説した。
「SAP Concurは出張経費管理システムを全世界で9300万人にご利用いただいています。公共という観点ではアメリカ連邦政府が2014年から採用し、次期システムとしてSaaSを 2027年まで全省庁で稼働する予定です」
国内に対しても昨年にデータセンターを設置し、公共機関に提案できる体制を整えている。4月に行われた旅費法改正に伴い、変化への対応について自治体に提案を続けていると長谷氏。
「従来は旅行命令書が法律で様式まで指定されていたためシステムでの対応が難しかったのですが、廃止により運用がしやすくなりました。また、以前は定額支給だったものが、実費支給になったことで当社が得意とするキャッシュレスデータの連携を実現でき、旅費の申請業務を回すことが可能になっています。旅行代理店のポータルサイトや、クレジットカードを介して旅費の支払いが可能になるため、非常に大きな変化が訪れていると認識をしています」
旅費法改正と旅費業務のデジタル化の関連では、対策を行わなければ負担が増加する可能性について指摘した。例えば承認審査では従来の定額支給であれば一定の審査基準で対応できたが、実費支給では領収書の金額を確認して1件ずつ確認することが求められる。
「ここは様々な自治体の皆様からも懸念する声を聞いています。その点、当社のシステムを導入した場合、様々なキャッシュレスデータと連携できるため、新幹線、飛行機、ホテルなどは旅行代理店のポータルサイトで予約すると、そのデータが自動的にSAP Concurに連携されます。コーポレートカードやICカードで払っても同じようにデータが連携されるため、手入力の必要もなくなり、手入力による間違いもなくなります」
特に膨大な工数がかかり、ミスが発生する工程である「確認・審査」の領域にも対応を行っている。従来は担当者が全て目視でチェックしていたが、システムを導入することで 50%~70%の範囲でシステムが自動的に判断する機能を備えているという。
「今年1月まで各自治体公共機関のお客様とご一緒させていただいた実証実験の結果では、おおむね業務削減効果50%前後の効果が出ています。自治体様に対して、このような効果を目指して業務とデジタル化をどう改革できるかをご提案しています」
福井県庁がSAP Concurを導入した
背景と採用の理由
ウェビナー第2部では福井県庁へのシステム導入の経緯や現在の状況について説明した。福井県庁がシステム刷新を検討した背景は次のように話す。
図 福井県庁がシステム刷新を検討した背景

出典:株式会社コンカー
「コロナ禍の感染拡大によりリモートワークやデジタル化の対応が急務になり、仕事の進め方改革が実施されました。ペーパーレスや電子決裁を利用することによって事務処理自体を電子化していくことを掲げ、先進技術を活用して事務の効率化省力化を図っています。現在はベンダーの工数が逼迫していることもあり、従来のオールインワンパッケージではなく、複数のシステムを組み合わせた全体最適を最適化として目指すことを決められました」
福井県が次期システムを検討する中で、「Concur Expenseは、電子決裁に対応しており、時代の変化に合わせた機能の拡張、システム操作や審査業務の簡素化、業務の効率化、適切な事務の確保などについて福井県様が審査され、当社の製品が導入されました」と長谷氏は振り返る。
福井県庁の業務効率化に向けて
実施したポイント
ここでシステム導入の実務を担当したNTTデータ・ウィズの水野氏が登壇。同社は2015年よりコンカーのパートナーとして自治体や大手企業向けのSAP Concur導入やシステム連携プログラムの開発を行い、優れたパートナーの証である「Concur Japan Partner Award」を5回受賞している。
まずは福井県庁が契約するクラウド経費精算システムConcur Expenseの契約内容について説明した。

株式会社NTTデータ・ウィズ デジタルストラテジー事業本部 ビジネスイノベーション事業部 ビジネススペンドマネジメント部部長 水野敏明氏
「旅行命令に関するConcur Request、予算管理のConcur Budget、分析(BI)のBusiness Intelligenceなどを契約されていて、またSingle Sign Onやオープンプラットフォームなど、さまざまな外部のサービスとSAP Concurが連携できるようになっています。精算対象は国内旅行、海外旅行、赴任旅費などがあります」
導入スケジュールは、2024年6月から導入プロジェクトがスタートし、約4カ月で要件定義を実施。福井県庁がテストを実施しながら、2025年3月に稼働準備を行い、4月に本番稼働を迎えた。
福井県庁が業務の効率化に向けて検討を行ったポイントとして、宿泊費や同一地域内の交通費等が定額支給から実費精算になる点をあげた。以前は旅行命令時に経路や各種旅費種目、金額等を細かく入力していたが、Concur Expenseでは、旅行命令時の入力内容を簡素化することにより業務負荷の軽減を行っている。
「Concur Requestの機能と福井県様の規定の改定により、経路ないしは金額支出を伴わないものに関しては金額入力の省力化を可能にしていただいています。」
具体的には、実費精算を前提にしているため、事前の旅行命令は行き先、目的などを入力いただくことで、それぞれのかかる費用は旅行が終わった後の経費精算で実際の金額実費を入力することで解決しています。事前の入力に関する負荷が軽減できました」
水野氏は最後に「我々としては福井県様に寄り添って、サポートをさせていただき、皆様方の今後の利活用に寄与させていただきたいと思います」と話し、ウェビナーを締めくくった。
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