「Concur Expense」の活用方法 自動連携システムで自治体の業務を効率化

自治体では福祉タクシー券などによる移動支援を行い、高齢者や障害者に対する生活水準の向上に取り組んでいる。ただ、その業務は紙チケットにより行われており、多数の課題がある。コンカーの岩屋氏は同社のクラウド経費精算システムを活用した移動支援業務の効率化について説明した。

株式会社コンカー営業統括本部公共営業部の岩屋光一郎氏

福祉タクシー券における
自治体などが抱える課題

東日本エリアの地方自治体や公共機関を対象として、SaaSを活用した内部事務領域のDX支援を行っているコンカーの岩屋氏は、多くの自治体で運用されている福祉タクシー券をはじめとした住民の移動支援の業務効率化または利便性向上に向けたクラウド経費精算システム「Concur Expense」の活用方法について説明した。

自治体が移動支援を行う目的は、高齢者や障害者など、困難を抱える住民の交通アクセスを支え、地域社会における孤立防止や、生活水準の向上を目指すことだ。一方で、同社が自治体に対してヒアリングを行うなかで可視化された実態があり、「共通課題は、住民・タクシー事業者・自治体と、大きく3つの領域に分けられます」と話す。

福祉タクシー券を利用する住民は、来庁して窓口での紙による申請や受け取りの作業が必須のため、手間がかかるとともに紙チケットの管理や所持が求められ、紛失のリスクがある。また、紙チケットを車内で手渡しにより受け取るタクシー事業者は、集計や手計算が必要で、自治体に対する請求処理が業務として発生している。

「自治体職員の方は、年度初めの4~5月の交付のタイミングで窓口に来庁される利用者の方が非常に多いため、その対応が求められます。紙を主体とした運用の場合、利用状況が可視化できず、不正利用などのガバナンス管理も難しくなります。集計・請求のプロセスでは自治体によっては集計委託コストをタクシー事業者に支払われているケースもあり、最後の支払いにおいても各タクシー事業者から送られてくる請求書や支払いスケジュールにばらつきがあるなどの課題があります」

同社は上記プロセスのなかで特に「集計・請求」の領域に特化してデジタル化の支援を行い、自治体の業務負荷を軽減し、利用する住民の利便性向上に向けた支援の提案を行っている。

ICカードの事前登録で
データが自動で連携される

コンカーはこれまで旅費精算業務を中心に支援を実施してきた。そこで得た知見や、各種アプリケーションとの連携やパートナー企業とのエコシステムなどの基盤を活用し、移動支援の業務効率化を実現しようとしている。

「特に交通系ICカードとのデータ連携を活用して、自治体の業務負荷軽減、また住民の方々の利便性向上を図っていこうと考えております」

具体的なサービスのイメージは、利用履歴を「Concur Expense」に直接連携する機能がある。従来であればICカードをカードリーダーにタッチや、スマホのアプリでデータを転送するという対応が一般的だったが、ICCI(ICカード自動連携)機能により、電車の改札やバスの決済端末、タクシー車内の決済端末にかざして支払いを行うだけで、利用実績がシステムに直接連携されるという仕組みだ。

「これを活用することで紙媒体そのものをなくす施策や、タクシー事業者を介した集計や管理の業務を削減できると考えています」

実際の活用するためには、対象者(住民)は事前に福祉タクシー券の助成金を得られるかを含めた本人確認をオンラインまたは来庁して行う。その際に対象者が所有するICカードもコンカーのシステムに登録。その後は、タクシーに乗車した際に、登録済みの交通系ICカードで決済を行えば、自治体職員が管理するコンカーのシステムに連携される。

福祉タクシー券など移動支援に関わる自治体・住民・タクシー事業者の全てに業務効率化を中心としたメリットを提供するクラウド経費精算システム「Concur Expense」の活用

「システムを操作するのは基本的には自治体の職員の方々のみで、対象者は事前に登録した交通系ICカードで決済を行うだけでよいため、利用者の利便性も向上できます。自治体職員の方々は日々集計される利用実績やタクシーの利用料金を対象者ごとに管理を行い、都度ではなく、数カ月に1回の頻度などで支払いを実施する。このようなご検討をいただきたいと思っています」

神奈川県の自治体で検証中
全国へ展開していく

「Concur Expense」を活用したこの取り組みは、現在、神奈川県内の自治体で具体的な検証が行われている。

「福祉タクシー券の運用を紙主体で行っているため、さまざまな課題が生じていました。自治体は利用券の受領やチェック、支払いで工数がかかり、削減につながらず、交付したタクシー券を誰がどの程度利用しているのかを把握、管理しきれていないというのも懸念しているポイントでした。デジタル化によって利用状況や補助金の利用状況を可視化、把握していくところがご相談の背景です。それに対して、コンカーを導入した場合にどういう業務フローが実現できるかというところも検証させていただきました」

具体的には、住民が保有しているICカードに付与されているユニーク番号をコンカー上に登録することで、利用時にタクシーの車内でかざして決済を済ませれば、利用実績が庁内で管理するシステム上に自動連携されるという構想を提案。自治体は4カ月に1度、集計した住民ごとの支給上限額をコンカー上で精査し、庁内で処理した後、財務会計システム側と連携を行い各個人に対して支払いを行っていく流れだ。

「これによって自治体の職員の方が、住民およびタクシー事業者の業務負荷が圧倒的に軽減されるというところに期待値を持っていただいています」

今後も同社は全国自治体への「Concur Expense」導入促進を進めていく方針だ。

「自治体においては業務の品質を向上していく、そして何より業務を効率化していくというところで、まずは紙の運用による業務負荷をしっかり軽減していくというポイントだと思います。また、当社のシステムにより利用状況をしっかり可視化することで、その業務の品質自体を向上していくところにも寄与できればうれしいと考えております。自治体職員の方々のバックオフィス業務のご支援にとどまらず、住民サービスに直結するような部分でも、今後ご支援を重ねてまいります」

 

お問い合わせ先


株式会社コンカー
E-mail:info_japan@concur.com
Tel:03-6737-4300(平日10:00-17:00)

この記事に関するお問い合わせは以下のフォームより送信してください。