FLYING COW 「プリン県さが」を浸透させ、地域を活性化

みやき町で約60年の歴史を誇る大富牧場。その加工部門「FLYING COW」を設立した大富藍子氏は、自社開発のプリンの販売とともに、地域のプリンを紹介するマップを制作し、ご当地プリンのブランド化を推進する「プリン県さが実行委員会」を設立。プリンを軸にした地域活性化に取り組んでいる。

大富 藍子(大富牧場「FLYING COW」店主)

地域とのつながりを生むため
牧場に加工部門を新設

佐賀県みやき町の「FLYING COW」は、約60年の歴史がある大富牧場の加工部門で、プリンなどのスイーツを製造・販売している。牧場近くの店舗は、地域住民はもとより、その評判を聞きつけて全国各地からプリンを買い求める人たちが次々と訪れる。

「メディアでの紹介やデパートの催事をきっかけに、うちのプリンのことを知ってくださる方が増えています。『ずっと前から店舗に行ってみたかった』とまとめ買いをされたり、海外からの問い合わせも多いんですよ」とFLYING COW店主の大富藍子氏は微笑む。

大富氏はみやき町の出身。高校卒業後、東京で10年ほど演劇役者として活動し、28歳の時に帰郷。大富牧場の3代目である夫と結婚した。「FLYING COW」の看板商品であるプリン作りを始めたのは2015年のことだ。

「うちは牛乳をつくるための乳牛と、食肉用の肥育牛の両方を飼育する一貫経営の珍しい牧場で、ほとんど休みがありません。日々、酪農の仕事に励む家族やスタッフの姿を見て、『成果を牛乳以外の形にしてみたい』という思いが沸き上がってきたのです。酪農家は牧場の仕事にかかりきりで、牧場以外の人と話す機会が少ないですし、当時は育児に専念していたこともあり、『牧場と地域とつながるきっかけを作りたい』という思いもありました」

大富牧場の生乳を使ったオリジナル商品を販売するため、様々な試作品を黙々と作り続ける中、プリンを商品化することに決めたのは、「おやつとして作ったプリンに、子どもたちが飛び上がるほど喜んでいたから」。その時の子どもたちの姿にちなみ、牧場の商品がいろいろな場所に飛んで届くようにとの願いも込めて、加工部門を「FLYING COW」と命名した。

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