2021年4月号

ランナーズ・ヴィレッジ レポート

コロナ時代の観光戦略 地域資源を活用、農泊×ランニングで誘客

月刊事業構想 編集部

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外出自粛で地域のイベントが中止や延期になるなか、屋外での少人数アクティビティに活路を見出すことができるのが、農泊とランニングを掛け合わせた〈ランナーズ・ヴィレッジ™〉だ。ランナーに特化した観光プランから見えてくる、農山漁村の強みとは。

岐路に立つマラソン大会

いつでもどこでも手軽に楽しめるスポーツとして近年、日本でも愛好者を増やしている「ランニング」。日本のランニング人口は900万人と言われ、コロナ禍においても運動不足の解消や気分転換の手段として人気のスポーツだ。

2019年度は日本各地で1800以上ものマラソン大会が実施され、各地域の主要都市、さらに各市町村の自治体が地方創生の有力なコンテンツとして精力的に取り組んできたが、2020年度はコロナ禍により、多くの大会が中止を余儀なくされている。いま、多くの地域では、感染症により先の見通しが立たない中で、マラソン大会の持続に頭を悩ませているはずだ。

コロナ禍により、大規模なマラソン大会はあり方の転換を迫られている

もともと、マラソン大会がここまで全国に展開した背景には、ランニング人口の増加だけでなく、スポーツと旅行を組み合わせた、「スポーツツーリズム」の一面が大きい。笹川スポーツ財団が2年ごとに行っている調査によると、ランニングへの取り組みは人口規模が大きい東京都区部に住む人ほど高いことがわかっている。近年では旅行会社がマラソン大会の出場権と旅行をパッケージにした「旅ラン」プランを取り扱うようになり、ふだん旅行雑誌に取り上げられるような観光地でなくとも、豊かな自然と地域の食を前面に出すことで、都心のランナーを旅行代わりに誘客することが可能となった。

しかし一方で、マラソン大会の増加とともに各地の競争が過熱し、事前の道路使用許可などの作業面、タイム計測器具や人件費などの財源面、そして住民ボランティアなどの地域合意において、地域の負担は大きくなっている。コロナ禍で大規模なスポーツイベント自体が成り立たなくなっているなか、今後地域においては、感染症対策を行ったうえで、マラソン大会を持続可能なかたちに修正していく必要があると言える。

ランナーが楽しめる観光地へ

事業構想大学院大学では、2017年から各地の自治体や観光事業者とともに、農泊×ランナーのまちづくり、〈ランナーズ・ヴィレッジ™〉に取り組んできた。本プロジェクトでは、都市・農村の関係人口の創出や地域の所得向上などを目的に、地域の何気ない道や景色、食べ物、農村体験を「地域資源」と捉え、GPSアプリと連動したランニングコースと宿・食・体験のおもてなしを掛け合わせた旅行商材の開発・マーケティングを行ってきた。

〈ランナーズ・ヴィレッジ™〉の特徴は、既存の道をコースに活用するためハード整備が不要で、マラソン大会などの大規模なイベントではないため、道路封鎖などの必要がないことだ。また、屋外での体験がメインの商材であり、少人数を対象としているため、感染症対策も行いやすい。

マネタイズのポイントは地域の観光資源を取りまとめてランナー向けにパッケージで提供することだ。ランニングコースと連動して商材を提供することで長時間の滞在を可能にし、観光において最も消費の多い宿泊、食事を地域内で完結させることができる。

販売方法は地域によってさまざまなパターンがあり、例えば旅館のランナー向けプランとしての販売や、旅行会社によるツアー販売のほか、民泊の付加価値としてプランに組み込めば、地域住民の所得向上にも寄与する。

〈ランナーズ・ヴィレッジ™〉ではこうしたランナー向けの観光地域づくりの基礎知識や人材育成、コロナ対策、販売方法の確立にSNSを活用したプロモーションに至るまでのノウハウを体系的にまとめており、地域ごとの方向性を決めて発展できる仕組みとなっている。

福島県川内村では、「川内の郷かえるマラソン大会」を年1回実施しつつ、並行して通年でのランナー向け宿泊プランを造成し、2020年度のコロナ禍においてもツアーを実施している(緊急事態宣言期間を除く)。これまで全国各地でのランナーに向けたツアーアンケートでは、一泊二日の滞在プランで、15000円〜23000円の価格感の評価を得ており、SNSやランナーの口コミを活用することで、最小限のプロモーション費用で集客を行っている。

一泊二日のツアー内容の例( 山口市)。個人客は民泊で、団体客は旅館で受け入れる

地域を問わず取り組める

〈ランナーズ・ヴィレッジ™〉で重要なことは、地域独自の宿・食・体験のコンテンツを集約し、ランニングコースとセットで魅力的に見せることだ。どこの地域でも、地元の人にとっては当たり前でも、外から訪れた人が魅力を感じるものがあるはずだ。

例えば、野生の生き物や植物を見る、湧き水でコーヒーを飲む、景色のよい丘に行く、薪割り体験など、地域資源をエリア内で見出していく。これらの体験をランニングのコース上に設定すれば、二次交通に課題のあるスポットでも、ランナーは道中も含めて楽しむことができる。ガイドランナーが案内をすればさらに付加価値をつけることもできるが、GPSと連動したランニングマップアプリを使ってもらうことで、ランナーにとっても自由度の高い旅になる。そうしたパッケージをつくるために、地域のステークホルダーを集めて意見交換をするのもいいだろう。

今後、事業構想大学院大学では、農泊や誘客多角化に取り組む地域に向けて、4カ月で〈ランナーズ・ヴィレッジ™〉を造成するオンライン講座・現地支援・SNS支援を行う。ウィズコロナ時代において、地域の観光資源を再発見し、ランナー向けの観光商材を作りたい地域は、取り組んでみてはいかがだろうか。

地域協議会・自治体職員・地域おこし協力隊・観光事業者の方へ

4カ月集中 ランナーズ・ヴィレッジ™実践研修 説明会

◆プログラム
① 走れる旅行先 ランナーズ・ヴィレッジの取り組み紹介
 ~どの地域でもできる ケース別立ち上げ方法~
② 実践研修 募集要項のご案内

◆日程
2月26日(金)〜3月26日(金)
  説明会動画オンライン配信

◆実践研修 概要(詳細は説明会動画でご案内)
期間:2021年6月~9月 10カリキュラム 各3時間
内容:実施体制の構築/コンテンツ開発/プロモーションなど
形態:オンライン開催 リアルタイム&アーカイブ配信
費用:1自治体あたり80万円(税抜)

農林水産省
「農山漁村振興交付金」が活用可能
ご興味のある方は、お申込み、ご連絡をお願いします。

相談会のお申込み https://www.mpd.ac.jp/runnersvillage2021/
お問合せ先    TEL:03-6278-9031
         Mail: runners.village@mpd.ac.jp

 

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