社会課題を解決する新しい手法 社会的インパクト投資が本格化
社会課題の解決に取り組む企業を資金面で支援する「社会的インパクト投資」の市場が、グローバルで拡大している。日本における社会的インパクト投資の展望について、社会的投資推進財団の代表理事・青柳光昌氏、マネージャー・菅野文美氏に話を聞いた。
グローバルで拡大する
社会的インパクト投資の市場
――社会的インパクト投資とは、どういったものですか。
菅野 従来の投資がリスク・リターンの2軸による評価だとすると、社会的インパクト投資はリスクとリターンに加えて、社会的・環境的インパクトを含めた3つの側面から評価を行います。投資先を選定する際には、その企業が「社会により良いインパクトをもたらしているどうか」を重視します。
社会的インパクト投資への注目は世界的に高まっており、今年6月末に開催されたG20大阪サミットにおいても、首脳宣言内で社会的インパクト投資など革新的資金調達の重要性が言及されました。
背景にはSDGs(国連が推進する持続可能な開発目標)の流れもあります。SDGsの達成のためには年間最大7兆円の資金が必要と推計されており、従来ならば公的セクターが担っていたような社会課題解決の分野においても、民間資金の活用が求められています。社会的インパクト投資はそのための手段にもなります。
青柳 ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の拡大が示すように、投資家側の変化もあります。機関投資家や大手金融機関が社会的価値を重視した金融へとシフトしており、グローバルにおける社会的インパクト投資の市場規模は、5020億ドルにのぼるという調査もあります。
日本の社会的インパクト投資市場は3440億円(2018年時点)とまだまだ小さいですが、前年比5倍に伸びており、これからの成長が期待できます。
ESG投資よりも踏み込んで、
社会・環境面での効果を「評価」
――社会的インパクト投資とESG投資の違いは、どういった点にあるのですか。
菅野 ESG投資は、リスク・リターンの2軸で評価する投資がベースにあり、その延長線上で長期的なリスクの低減、リターンの維持を図るものだと考えています。それに対して社会的インパクト投資は、社会課題の解決や社会的価値の創出そのものに焦点を当てています。
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