年金プラス収入を枝物で創出 茨城県奥久慈の常陸農協が耕作放棄地を再生

(※本記事は「JAcom 農業協同組合新聞」に2026年6月9日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

総会会場の装飾を背に石川会長(右)と長山豊明部会長
総会会場の装飾を背に石川会長(右)と長山豊明部会長

「年金+アルファの収入を枝物で稼ごう。耕作放棄地を再生し、宝の山にしよう」。茨城県常陸農協奥久慈枝物部会の石川幸太郎会長は26年前にそう考えた。茨城県農協中央会常務を56歳で退任し、20aの畑にハナモモを植え、枝物生産を始めた。2005年には当時の茨城みどり農協に9人の仲間と枝物部会を設立し、「部会員を100人、面積を100ha、売り上げを1億円」の目標を掲げた。売り上げは2018年に1億円を突破し、今では部会員は150人を超え、販売金額も2億5000万円に達している。(客員編集委員 先崎千尋)

2025年に日本農業賞

枝物による地域の活性化や様々な取り組みが評価され、2025年には日本農業賞大賞を受賞している。枝物部会が活動している地域は同農協管内でも北部の中山間地に位置し、山林面積の比率が高い。以前は葉タバコやコンニャクの栽培が盛んだったが、それらが廃れ、耕作放棄地が増え、イノシシが跋扈(ばっこ)している。石川さんはそれを逆転の発想で、仲間を増やし、若者たちも参入してきている。始めた当初、周りの農家の人たちは「石川が変わったことを始めた」と見向きもしなかったと言う。

簡単に取り組める枝物栽培

「年金生活者が自分や孫にあげる小遣いを稼ぐための仕事として思いついた。枝物は花材としての一定の需要があり、特殊な栽培技術が要らない。荒地での栽培が可能だし、他の農産物と違い出荷時期の調整も容易で、天候にも左右されない。当時、枝物は食べ物と違って余り注目されることがなかった。とにかく地域を元気にしたいと考えた。今では、会員は皆『枝物栽培が楽しい』と言っていて、部会を辞めたいという人は一人もいない」

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