ドコモ、天気予報連動の「グリーン基地局」をフィリピンで実証 太陽光の利用効率が23ポイント向上
株式会社NTTドコモは、フィリピンの通信事業者PLDT Inc.および子会社のSmart Communications, Inc.と協業し、太陽光発電などの再生可能エネルギーと天気予報情報をもとに蓄電池の充放電を自動で最適化する「グリーン基地局」の実証実験を実施した。ドコモが2016年に開発した「天気予報連動型リチウムイオン電池制御」技術を海外へ展開する初の取り組みで、マニラ近郊とセブ島に2局のグリーン基地局を構築した。
今回活用した「天気予報連動型リチウムイオン電池制御」は、蓄電池の容量を、停電に備えるバックアップ容量と、太陽光発電による通常時の充放電に使うサイクル容量に分け、その比率を固定せずに天気予報に応じて柔軟に変更する技術だ。晴れの予報で発電量が多いと見込まれる場合は放電を多めにして充電の余地を確保し、くもりの予報では放電を抑えて電池残量を確保、大雨・災害の予報で停電リスクがある場合は商用電力などで事前に満充電しておく。こうして発電・蓄電・給電をあらかじめ最適化することで、サイクル容量の充放電で生じる損失を最小化する。
実証は2026年4月から100日間、ドコモとPLDT・Smartの役割分担のもとで行われた。商用電源のあるマニラ近郊のオングリッド局と、商用電源のないセブ島のオフグリッド局の2局に、太陽光発電設備、蓄電池システム、ドコモのエネルギーマネジメントシステム基盤(EMS基盤)を導入。フィリピン現地の気候や電力事情に合わせて制御アルゴリズムを再設計し、夜間や停電時も安定した通信サービスを継続しながら、再生可能エネルギーの利用効率を高めることで商用電力使用量とCO₂排出量の削減効果を検証した。ドコモがグリーン基地局技術およびエネルギーマネジメント技術の提供、計画策定、実証の統括、効果検証を担当し、PLDTとSmartは基地局設備や設置場所の提供、現地の電力データの提供、政府への申請対応を担った。
実証では太陽光発電の利用効率が38%から61%へ23ポイント向上し、有効活用できた余剰太陽光発電量は3,905kWhとなった。電力消費量は前年同期比で600kWh削減され、100日間で累計約2,854kgのCO₂排出削減につながったという。
再生可能エネルギーの活用は、基地局の脱炭素化にとどまらず、商用電力の使用を抑えた運用コストの削減、蓄電池による停電時の通信インフラの継続運用、太陽光由来電力の最大活用による自立性の向上といった効果が期待される。天気予報と連動した蓄電池制御を海外で展開するのは初めてで、電力事情の異なる環境でも技術が有効に機能することを確認した。制御アルゴリズムに関する論文は、2026年7月にルーマニアで開かれたIEEE共催の国際会議「icSmartGrid2026」で優秀論文賞を受賞している。ドコモは温室効果ガスの削減量を国際的に活用する二国間クレジット制度(JCM)の活用も視野に、フィリピンと日本での排出削減に取り組む方針だ。なお、9月9日から幕張メッセで開催される「Smart Energy Week」には、本実証で提供したEMS基盤を出展する。