日東電工、耐汚染RO膜エレメントを発売 基幹技術を生かし産業排水の再利用へ
日東電工株式会社(Nitto)は2026年9月、産業排水の処理・再利用に向けた耐汚染逆浸透(RO)膜エレメント「PRO-XR1-X-LD」を発売した。同社は1918年の創立以来培ってきた基幹技術をベースに、スマートフォンや車載ディスプレイ向けの光学材料をはじめ、先端半導体材料、データセンター向け精密回路基板、医療関連製品、脱炭素ソリューションなどをグローバルに展開する高機能材料メーカー。ブランドスローガン「Innovation for Customers」のもと、なくてはならない価値の創出を掲げており、今回の新製品もその技術蓄積の上に開発された。
近年、半導体をはじめとする各種産業の成長に伴い製造工程で使用される水量が増加する一方、水資源の有効活用や環境負荷低減への要求が世界的に高まり、排水規制の強化も進む。こうした中で産業排水の再利用ニーズが拡大している。RO膜は水中の不純物を除去する分離膜として工業用水の製造や排水再利用に幅広く使われるが、半導体製造工程などの排水には有機物や微粒子が多く含まれ、膜汚染(ファウリング)が進むと処理性能が低下し、膜の洗浄・交換頻度の増加による運転コストや環境負荷の増大が課題となっていた。
日東電工はこうした課題に応えるため、処理難度の高い産業用途向けRO膜エレメント「PROシリーズ」のラインアップを強化してきた。今回の「PRO-XR1-X-LD」はその一環で、独自の表面コーティング技術と流路構造の最適化により有機物やコロイド粒子の付着を抑制する。高い不純物除去性能を維持しながらファウリングによる性能低下を抑え、高負荷な排水条件でも安定した処理性能と効率的な水回収を実現するという。膜洗浄頻度の低減で、同社の評価条件では従来製品比約2倍の膜寿命延長を可能にするとしている。
分離膜事業は、同社が2026年5月に発表した中期経営計画で成長分野の一つに掲げる「グリーンテック」に位置付けられている。生産は滋賀県草津市の拠点で行う。同社は今後も、半導体製造をはじめとする産業分野の水処理ニーズに応える製品・ソリューションを提供し、顧客の水資源の有効活用と環境負荷低減に貢献していくとしている。膜寿命を延ばして洗浄・交換の頻度を下げる新製品は、水の循環利用が広がる製造現場で、コストと環境負荷の抑制につながる選択肢となりそうだ。