モニタリング技術が解消の糸口か アジアの交通渋滞、経済損失はGDPの2~5%

(※本記事は『SciDev.Net』に2024年7月24日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

交通渋滞はアジアの経済成長を反映しているが、同時に渋滞や汚染を引き起こしている
アジアの経済成長を反映している交通渋滞は、同時に停滞や汚染を引き起こしている

要約

  • 交通渋滞はアジアの経済成長を反映しているが、同時に停滞や汚染を引き起こす。
  • 電気自動車や地下鉄など優れた公共交通機関が解決策となり得る。
  • 駐車料金や燃料価格の上昇が公共交通機関への転換を促す可能性がある。

アジアの急成長する大都市で見られる交通渋滞は、急速な経済成長の象徴である。しかし交通渋滞は、地球温暖化を進行させる有害な温室効果ガスや、健康や生活の質に悪影響を及ぼす大気汚染物質を排出する。

交通渋滞と自動車による大気汚染が危機的なレベルに達しているため、アジア諸国の政府は、人々が自家用車や二輪車ではなく、公共交通機関を利用するよう促す方法を模索する必要がある。

アジア開発銀行(ADB)の報告によれば、道路渋滞は時間のロスや輸送にかかるコストのせいで、アジア経済に年間GDPで2〜5%の損失をもたらしている。雇用と経済的機関の多くが集中するアジア都市部の人口は毎年約4400万人も増加しており、この問題は危機的状況に達している。

世界で最も大気汚染がひどい首都であるインドのニューデリーでは、現在、10年を超過したディーゼル車や15年以上走っているガソリン車を押収する政策を実施している。過去2年間で500万台の老朽化した車両がデリーの道路から消え、35%削減された。

デリーは、電気を動力源とする輸送手段への切り替えも進めており、国営バス3700台のうち800台がすでに電気で走行している。デリーのEV政策(Delhi Electric Vehicles Policy)では、2024年末までに市内で新規登録される車の少なくとも25%が電気で走行することを目指している。

さらに、デリーは大量高速輸送システム(デリーメトロ)を増強しており、現在は色分けされた392キロメートルの路線に288駅が設置されている。2022年には、1日平均250万人の乗客がメトロを利用した。

しかし政府は、個人用交通手段への嗜好の高まりがこうした取り組みを妨げ、デリーを国内最大の温室効果ガス排出都市にする一因になっている、と述べている。

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