"巨大ガチャ"がつなぐ地域と笑顔──グリーグローブが描く体験型プロモーションの未来

「体験を仕掛ける」──そんな言葉がしっくりくる、新しい発想のプロモーション企業がある。2024年設立のスタートアップ・gleeglobe(グリーグローブ)は、巨大ガチャを核にした"体験型プロモーション"で注目を集めている。
起点は、イベント会社として培ってきた企画力と現場感覚。そこに独自開発の機材と、人を巻き込む"しかけ"が加わることで、地域活性や観光促進、企業のマーケティングにまで可能性を広げている。
イベント会社から生まれた、体験を仕掛けるスタートアップ
グリーグローブ代表・上村正治氏は、もともとイベント企画の世界で15年以上にわたり活動してきた人物だ。展示会や販促イベントの現場で、「人の心が動く瞬間」に数多く立ち会ってきた経験が、現在の事業の出発点となっている。
「コロナ禍は、私たちにとって転機でした。人が集まるリアルな場が失われたことで、"体験"のあり方を見直す必要が出てきた。じゃあ、どんな体験なら、非接触でもワクワクできるか?──その答えが、巨大ガチャ『モンスターカプセル』だったんです」
"顔が見えるものづくり"を掲げ、自社内で機材を内製化。構想からわずか数ヶ月で試作を重ね、2021年に本格ローンチされたモンスターカプセルは、瞬く間に多くのイベントや施設で注目を集める存在となった。
誰もが楽しめる「しかけ」としての巨大ガチャ
グリーグローブのプロダクトの特徴は、その"わかりやすさ"にある。直径16cmを超えるカプセルがゴロンと出てくる様子は、子どもから大人まで誰もが笑顔になる"瞬間の演出"だ。言葉の壁もなく、年齢や国籍を問わず楽しめる設計は、海外来訪者の多い観光地との親和性も高い。
「巨大ガチャは、抽選やくじ引きより"期待感"の演出がうまい。中に入れるコンテンツは、自治体のノベルティでも、企業のサンプルでも、自由にカスタマイズできる。だから、まちの色やブランドの個性を活かした"その土地だけの体験"がつくれるんです」
実際、グリーグローブでは観光地のスタンプラリーや、地域フェアでの回遊施策として導入されるケースも多い。参加者がガチャを回すことで、その場の思い出を「体験×モノ」として持ち帰れる設計は、SNSシェアも誘発しやすく、プロモーション効果も高い。
笑顔を起点にする仕組みづくりの思想
この事業の根底には、上村氏自身の価値観がある。
「僕はずっと、"褒める文化"を大切にしてきました。前職でも、現場でスタッフが笑顔になれるような仕組みをつくっていた。人が楽しそうにしてると、自然と周りに人が集まる。イベントでも、巨大ガチャでも、本質は同じ。"人の心を動かす"ことが、すべての出発点なんです」
巨大ガチャは単なる抽選ツールではない。そこに人が集まり、思わず笑ってしまう瞬間があり、思い出が残る。その"笑顔の連鎖"を仕組みに落とし込もうとしているのが、グリーグローブの強みであり、ユニークな社会的意義だ。
日本発プロモーションの進化と、地域展開の構想
グリーグローブが今、力を入れているのが「地産地消型」の展開だ。たとえば観光地や空港、地域の商業施設に、機材と仕掛けを常設する構想である。
「全国に機材の拠点をつくり、物流の負荷を最小限にする体制を考えています。現地のパートナーと連携して、運用もその土地で完結する。"地元発のプロモーション"として育てていければ、地域経済にも貢献できるはずです」
まちづくりや観光誘致と連携する体験型巨大ガチャは、地方創生の新たな武器となる可能性を秘めている。単発のイベントに終わらず、継続的な価値提供を見据えた展開が始まっている。
“体験“を再定義する、新たな事業構想へ
現在、グリーグローブはSNS連携やCRM活用を見据えた「巨大ガチャ×デジタル」の融合にも取り組んでいる。LINE登録と連動した会員化、巨大ガチャ参加者の属性データ分析など、デジタルを活かしたマーケティング施策にも拡張している。
「僕たちは"難しいことを、わかりやすく。楽しいことから始める"という姿勢を大事にしています。巨大ガチャって、誰にでも伝わる。だからこそ、PRや販促の導入ハードルを下げて、新しい体験を広げていけるんです」
今後は、地方自治体や観光団体、企業とのコラボレーションをさらに推進していく構えだ。体験型プロモーションを通じて、笑顔を起点とした社会的価値の創出に挑むグリーグローブ。その挑戦はまだ始まったばかりだ。
