顧客基盤からつくる新事業 移動通信から金融やエンタメに事業を拡大

日本の移動通信インフラを支えてきたNTTドコモ。6月に就任した前田義晃新社長は、「お客様起点の事業運営」を目標に掲げる。金融やエンタメなど通信以外の領域にも積極的に進出する考えだ。

聞き手: 田中里沙 事業構想大学院大学 学長

 

前田 義晃(株式会社NTTドコモ 代表取締役社長CEO)

高度に情報化された社会で
不可欠の通信インフラを担う

NTTドコモの始まりは、1991年8月に設立されたエヌ・ティ・ティ・移動通信企画だ。さらに遡ると、日本電信電話公社という公共企業体が源にある。日本の通信インフラを支える企業であり、その技術を進展させることで社会に豊かさを実装してきた。代表取締役社長CEOの前田義晃氏は「それはNTTドコモとなった今も、そしてこれからも変らない私たちの価値だと考えています。世の中の技術革新の度合い、より複雑化した社会の中で、私たちの責務は今後より一層大きくなっています」と話す。例えば災害時には、通信の有無が救助や復旧のスピードを左右する。2024年1月に発生した能登半島地震では、NTTドコモの携帯電話基地局も被災して通信が失われたが、船上基地局の運用とともに、避難所を社員が巡って接続を回復させていった。

一方で、移動通信事業者間の競争は激しく、NTTドコモのシェアは現在4割を切る状況にある。「事業の中心となるのは通信ですから、お客様としっかりと向き合い、その声に真摯、かつスピーディにお応えすることが競争力そのものだと思っています」。前田氏は6月の社長就任時に、「お客様起点の事業運営」という目標を掲げ、グループ内外の周知に努めている。「これは、テクノロジーで新しい価値を実装していく上で大事にすべき分かりやすいポリシーだと思います。NTTコミュニケーションズ、NTTコムウェアなども含めたグループ全体で、ここに向けて邁進していきます」。

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