「無許可広告」で提訴されたMeta SNS運営に忍び寄る規制の現実
※本記事は『THE CONVERSATION』に2025年5月22日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています。

Facebook、Instagram、WhatsAppの親会社であるMeta社は、ナイジェリアで合計2億9,000万米ドル(約450億円)を超える3件の制裁金を科された。これは、ナイジェリア連邦競争・消費者保護委員会、ナイジェリア・データ保護委員会、ナイジェリア広告規制評議会の3つの政府機関によって下されたものである。Metaは、ナイジェリア国内の個人情報保護および消費者保護に関して不適切な手法を用いていたと指摘されているが、同社はこれらの主張を否定しており、法廷で争う姿勢を見せている。
起業家精神および国際ビジネスを専門とする研究者のトル・オラレワジュ氏と、起業学教授のジャガナダ・パワン・タムヴァダ氏が、今回の制裁の意味合いについて解説している。
Metaが科された違反内容とは
問題の発端は、2021年1月4日にWhatsAppがプライバシーポリシーを更新し、Meta(当時はFacebook)およびその関連企業とのデータ共有を義務化したことにある。主な変更点は、WhatsApp上のビジネスに関するユーザーのやり取りに関するデータを、マーケティングや広告目的でFacebookと共有することが可能になった点である。
この新方針にはオプトアウト(拒否)選択肢がなく、いわば「同意するか、利用をやめるか」の二択だった。つまり、利用者がこの新方針に同意しなければ、WhatsAppを継続利用できなくなる仕組みであった。この措置に対し、ナイジェリアの連邦競争・消費者保護委員会がナイジェリア・データ保護委員会と共同で調査を開始。2021年5月から2023年12月までの長期にわたり実施された。
調査によれば、Metaはナイジェリア・データ保護委員会の指示に従わず、データ保護コンプライアンス機関を任命しなかった。この機関は、データ管理者やデータ処理者がナイジェリアのデータ保護規制に準拠できるよう支援するために認可されている団体である。さらに、Metaは2年連続で義務的な「ナイジェリア・データ保護規則」の報告書を提出していなかった。
ナイジェリアは人口約2億3,600万人を有し、アフリカで最も人口の多い国である。インターネット利用者は約1億700万人に達し、2024年末時点で最も利用されているソーシャルメディアは、WhatsApp、Facebook、TikTok、Instagram、Telegramの順である。
このうち、WhatsApp、Facebook、InstagramはMetaの所有するサービスであり、同社はFacebookとInstagramのサービスをナイジェリアから撤退させる可能性も示唆している。
ただし、連邦競争・消費者保護委員会は、仮にMetaがナイジェリア市場から撤退したとしても、同社の法的責任が免除されることはないと明言している。
現在、ナイジェリア国内には約5,120万人のFacebook利用者と、約1,260万人のInstagram利用者が存在している。
規制当局がMetaに対して指摘した違反内容とは
調査の結果、以下の複数の違反が明らかになった。
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