千疋屋総本店の成長戦略 伝統を守りながらグローバルに展開

創業1834年の老舗フルーツ専門店、千疋屋総本店は、進物にもなる高級フルーツの販売を柱としながら、ケーキやゼリーなどの加工品を通して「ひとつ上の豊かさ」を広く提案している。海外展開も強化し、世界から愛されるグローバルブランドを目指す。

大島 代次郎 (千疋屋総本店 代表取締役社長)

「水菓子安うり処」で創業
高級フルーツの専門店としての伝統

千疋屋は1834(天保5)年、武蔵国埼玉郡千疋郷(現・埼玉県越谷市)で槍術の道場を開いていた初代・大島弁蔵が創業。「幕末にかけて侍のなり手が減り、道場経営がおぼつかなくなっていました。道場周辺は果物や野菜の産地だったため、それらを船で江戸へ運び、販売することにしたのです」と千疋屋総本店代表取締役社長の大島代次郎氏は説明する。

1834年(天保5年)、葺屋町親父橋に構えた店。「水くわし(水菓子)安うり処」の看板を掲げ、果物のほか、かき氷、海外から入ってくる缶詰などを売り、江戸庶民に愛されるようになった。

物資の荷揚げ場だった葺屋町(現・日本橋人形町3丁目)の親父橋のたもとで「千疋屋弁蔵」を名乗り、「水菓子安うり処」の看板を掲げて店を出すと、付近の芝居小屋を訪れる人などが果物を買い求めるようになった。

「当時、果物は『水菓子』と呼ばれる、いわばデザートで、甘いほど喜ばれました。品物が良いと贈答品にも向くということで、次第に、生の果物を進物として購入する方が増え、『果物の贈り物』が慣習となっていきました。2代目の時代には高級料亭にも出入りするようになり、各界の方々にご贔屓にしていただいて、千疋屋は高級路線になっていきました」。

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