オープンイノベーションの新手法 「客員起業家」制度の可能性

ベンチャーキャピタル(VC)や事業会社が、起業家やその候補を一定期間雇用し、新規事業創出を目指す「客員起業家制度」。日本での普及を目指し、経済産業省は2022年度から実証事業を開始した。人材交流を起点にしたイノベーション創出の可能性について、経済産業省に聞いた。

石井 芳明(経済産業省 経済産業政策局 産業創造課 新規事業創造推進室長)

客員起業家(EIR)の導入で
起業・新事業開発を促進

2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づける岸田文雄総理大臣。今年8月にはスタートアップ担当大臣のポストを新設し、山際大志郎経済再生担当大臣に兼務させる人事を発令した。山際スタートアップ担当大臣のもと、2022年末を目処に「スタートアップ育成5か年計画」を策定し、日本からのスタートアップを今後5年で10倍に増やすために支援を強化する方針だ。

そうした中、経済産業省が起業の促進や、事業会社での新事業開発・社内起業の促進に向けた新政策として、本年度から実施しているのが「客員起業家(EIR:Entrepreneur in Residence)の活用に係る実証事業」だ。

図1 客員起業家(EIR)活用制度とは

出典:一般社団法人社会実装推進センタープレスリリース

 

EIRとは、VCや事業会社が、起業家やその候補と業務委託契約等を結び、新事業開発などで協働する取り組みだ。米国では、VCが起業経験者(事業の立ち上げから成長、EXITまでを経験)と業務委託契約等を結び、ソーシング業務を協働して行う傍ら、次の起業のアイデアを模索することを支援している。また、事業会社でも起業経験者等と契約し、オープンイノベーションを先導する取り組み(Corporate EIR)も見られる。

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