DXで地域の社会課題解決を後押し NTTコミュニケーションズ

NTTコミュニケーションズは7月、ソリューションコンサルティング部を新設、地域協創の取り組みをさらに強化していく。各地域の支社、支店の担当者とともに、独自に構築するDXプラットフォームを活用し、自治体が抱える社会課題の解決を後押しし、デジタル田園都市国家実現への足掛かりとする考えだ。

NTTコミュニケーションズ ソリューション&マーケティング本部
ソリューションコンサルティング部 地域協創推進部門
部門長の持永紘志氏(右)、
同部門 第一グループリーダーの富永泰治氏(左)

DXプラットフォームで、
地域のつながりを促す

ソリューションコンサルティング部の地域協創推進部門は、5GやIoTなどに関するサービスの主管部と兼務する社員も含め約70名体制で構成される。「従来、各地の支社、支店の担当者が地方自治体を通じて地域の皆さまに対して行っていた社会課題解決の取り組みを本社側から伴走支援する体制ができました。それぞれの地域でゼロから一の新しい事業、サービスを生み出していくとともに、コンサルティング部門とも協力しながら成功モデルを全国に横展開していきたいと考えています」と同社ソリューション&マーケティング本部 ソリューションコンサルティング部 地域協創推進部門 部門長の持永紘志氏はねらいを語る。同時に地域協創推進部門内に自治体営業推進プロジェクトチームを発足させ、各自治体の取り組みについて情報をチーム内で共有することにより横串を刺し、より効率的に機動的に各支社、支店を支援できる体制も整えた。

地域協創を推進するための基盤となるのが、同社が各地方自治体と連携しながら独自に構築するDXプラットフォーム(以下、本稿では「地域プラットフォーム」という)だ。持永氏はこれを「全ての地方自治体が地域全体のDXについてアクションを起こすためのファーストステップとなる仕組み」と位置付ける。地域全体のDXについては、「行政業務のデジタル化や住民情報の一元データ管理が目的ではなく、この仕組みを通じて、住民と住民、住民と行政、住民と企業、行政と企業がつながることを意味している」と述べ、プラットフォームが社会課題の解決を目指すためのDX基盤であることを強調する。

図 NTTコミュニケーションズのDXプラットフォームの全体像

出典:矢野経済研究所

より多くの地域のステークホルダーを巻き込むために、利用者である住民や地域の企業、そして行政の目線(課題感)を重視するとともに、地域全体のデジタルに対するリテラシーを考慮しながらサービスを検討する。また、自社のサービスで閉じるのではなく、地域の事業パートナーと連携しながら使いやすいサービスを取り入れ、真に利活用できる機能・データを実装し、地域の課題=ニーズに応じて日々進化させていく方針だ。「その結果として、その地域にとってベストなデジタル田園都市国家実現の基盤をつくりあげていくことができれば」と期待を語る。

ドコモグループならではの
強みを加味

地域の実態に合わせ柔軟にシステムを構築し、地域の住民、事業者、行政が真にDXを活用できる仕組みづくりを支援することと合わせ、NTTコミュニケーションズならではの強みとして挙げられるのが、NTTドコモグループのネットワーク資産を活用できることだ。同社地域協創推進部門 第一グループリーダーの富永泰治氏は群馬支店長を務めた経験も振り返りながら「デジタル庁ができ、データ連携基盤というインフラ面での構想もでき、デジタル利活用のための環境整備が着実に進む一方で、地域の住民や事業者に役立てるためにどのようなサービスを提供していけばよいのか悩んでいる自治体も多い。住民、企業が自分たちで地域社会をデザインしていける環境をつくることが使命だと感じています」と述べる。

そのうえで群馬支店長時代の実感から、ドコモグループならではの強みが、NTTドコモを含めた事業面でのシナジーと充実した営業網にあるとし、具体的に3つ列挙した。

1つ目が、「地域プラットフォームの提案において、それぞれの地域の課題を継続的にヒアリングし、解決に資するサービス、ソリューションを提案できること」だ。地域プラットフォームは導入して完結するものではなく、その時々の地域課題に対応し発展していくべきものであるため、自治体など地域のステークホルダーとの継続的な関係を担保できることが事業の前提となる。同社は、全都道府県に法人営業拠点があるため、これを行える。実際に、群馬県の長野原町では、地域プラットフォーム導入時は、「自治体から住民、事業者(飲食店等)から観光客への有益な情報の提供」をサービスとしていたが、その後高齢者等の健康増進を目的とした健康マイレージ等のサービスを拡充している。

2つ目が、デジタル環境の整備だ。「地域プラットフォームを導入したとしても、より多くの住民に利活用していただくためには、そこにアクセスするためのスマホなどのデジタルデバイスを普及させる必要がある。その点においても対応できる」と述べる。

そして3つ目が、リテラシー面のサポートだ。「ドコモグループには、スマホの使い方に精通したドコモショップという「財産」がある。ドコモショップ等との連携を通じ、草の根レベルで、スマホの使い方やプラットフォームにアクセスするための方法、自治体向けアプリの活用方法などをレクチャーし、プラットフォームのサービスを享受できる人を増やすことができる」と述べる。

このまちに暮らしてよかったと
思えるプラットフォームに

地域プラットフォームはドコモグループで構築・運営サポートを行い、各自治体が実際の運営に当たり、利用するのは地域の住民や事業者、商店街などだ。「地域プラットフォームはあくまでも地域協創を目的にしたものであり、自治体だけでなく、住民や事業者、商店街など地域社会の当事者が、自分たちの暮らすまちをどのように盛り上げていくかを自ら考えていくためのもの、として育てていきたい」と富永氏。

群馬県長野原町では、地域プラットフォームをすでに導入し、観光やヘルスケアなどのテーマでアプリを利用できる状況になっており、住民や観光客のアプリ利用状況や傾向を見ながら、政策検討やマーケティング検討に生かしている。富永氏は、「地域の関係者を巻き込んでいくのは地道な活動であり時間を要します。長野原町の取り組みが他の地域でも広げられるようわかりやすく体系化しながら、全国の支社、支店と伴走し、地域のデジタル化、ネットワーク化を進めていきたい」と語り、「デジタルを活用して住民、事業者、団体がこのまちに住んで、事業をしてよかったという取り組みを増やすことで、このまちをさらによくしていきたいという人を増やす好循環を生み出す一助になれれば」と、地域協創推進部門の果たす役割をあらためて強調した。

 

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NTTコミュニケーションズ株式会社
ソリューション&マーケティング本部
ソリューションコンサルティング部
地域協創推進部門
連絡先:support-municipal-sales@ml.ntt.com

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