フタバ 付加価値創造の精神で、ダシの新たな可能性を拓く
フタバは老舗ひしめくダシ業界では新興のダシメーカーだが、「ダシを科学する」を理念に掲げ、業界に先駆けて機械による科学分析と職人による官能試験とを合わせ、ブレのない味で飲食店からの信頼を獲得してきた。近年は新規事業にも注力し、総合ダシメーカーとして、ダシ文化の新たな可能性を拓いている。
ティーパックに着目し、
日本初の業務用ダシパックを開発
フタバは、現社長で4代目の江口晃氏の祖父が1953年、中華食材の卸売業として創業。毎日食堂で使われるダシを作ろうと考えるも、「便利なものでなければ世の中で売れない」と商品差別化のための研究を重ねた。そして、当時流行っていたお茶のティーパックに着目し、日本で初めて業務用ダシパックを開発した。
「父の代で、『ダシを粉砕して詰めるだけではすぐに真似されてしまう』と、鰹節を煮出して濃縮した鰹節エキスを開発しました。そのエキスをさらにコーティングすることで1パックあたりのダシ収量を飛躍的に増やし、経済的で誰もが簡単にダシが取れる『エキスパック』を60年ほど前に完成させました」と江口氏は語る。
これが同社のビジネスモデルの土台となり、以降、同社は「付加価値創造の精神」を経営哲学とし、こだわりを持った他にはない付加価値を創造することで、世の中に貢献することを目指してきた。
江口氏は同社の特徴として、「ダシのことならどんなご要望にも応えられる体制」を挙げる。それは、ダシパック100種類以上、削り節100種類以上という豊富なアイテム数からもわかる。これは各企業の様々な要望や、関東と関西のダシ文化の違いなどに対応してきた結果だ。
「アイテム数が多ければ在庫が増え、生産効率も悪く、資金繰り的にも良いとは言えないのですが、先代は『お客様のニーズはどんなものでも拾ってこい』とよく言っていました。誠心誠意、できる限りお客様のご要望にお応えしたいとの想いで、アイテムを拡充してきました」
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