現代社会の知の類型と実務家教員 知識の次元と役割
知識の次元と役割
知識は、私たちの生活や社会のあらゆる側面において不可欠な役割を果たしている。私は、現代社会における知識を、専門知・実践知・メタ知識に分類するというプランをもっている。これらの知識の類型は、それぞれ異なる役割と価値を持ち、学習、仕事、および生活全般において重要な役割を果たすと考えている。まず本稿では、専門知、メタ知識、実践知という知識の類型に焦点を当て、それぞれの特性と役割を考えていく。知識の多様性と相補的な性質を理解することは、知識の重要性をより深く理解することの手助けとなるだろう。
知識の類型として、専門知、メタ知識、実践知はそれぞれ異なる特性と役割をもっているように思われる。以下にそれぞれの知識の類型について簡単に触れよう。
専門知(Domain-Specific Knowledge)
専門知は、特定の領域や分野に関する知識をさす。これは学問的な知識、専門分野に関する深い認識を含むものである。専門知は通常、学問の基礎、理論、原則、および実証的なデータなどいわゆるディシプリンに基づいている。この知識は特定の分野での専門家としての資格を持つことが多く、その分野において問題を分析し、解決策を提供するために使用される知識でもある。
メタ知識(Metacognition)
メタ知識は、知識に関する知識のことである。つまり、人々が何を知り、どのように学び、問題に対処し、情報を評価する方法に関する洞察も含むことになる。知識がどのような性質をもち、知識をどのように活用すればよいのかという知識も含まれる。メタ知識は情報リテラシー、批判的思考、問題解決スキル、学習戦略、コミュニケーションスキルなどを含む広範なスキルとプロセスに関連している。メタ知識は学習者が自己調整学習を行うのに役立ち、新たな情報や状況に適応する能力を向上させる
実践知(Practical Knowledge)
実践知は、実際の現場での経験に基づく知識である。これは理論的な知識ではなく、実際の状況や問題に対処するために獲得される実務的な洞察も含む知識である。実践知は、実際の課題に対処し、問題を解決し、成果を上げるために必要なスキルや戦略を包括している。実務家や職業の専門家は、実務知識を通じて実際の状況に適切に対処し、問題を解決するのに役立つスキルと知識を持っている。
これらの知識の類型は相補的であり、異なる役割を果たす。専門知は特定の分野での専門家としての知識を提供し、メタ知識は知識をいかに活用するのかという社会実装を強化する知識であり、実践知は実際の課題に対処するためのスキルを提供する。これからの社会において、これらの知識の類型をバランスよく育むことが重要となる。とくに実務家教員は、実践知とメタ知識の生成に関与することになる。