新会社「NTT DXパートナー」を設立し、地域DXを一気通貫で支援

NTT東日本は、地域のデジタル変革(DX)を共創・伴走型でワンストップ支援する新会社「NTT DXパートナー」を2022年1月に設立した。設立の狙いと自治体への支援内容について、NTT東日本地方創生推進部の後藤氏とNTT DXパートナーの長谷部氏に話を聞いた。

左/長谷部 豊(NTT DXパートナー 代表取締役)
右/後藤 雅義(NTT東日本 BI本部 地方創生推進部 公共ビジネス担当部長)

地域DXで地域力の強化を

――デジタル庁が発足し、デジタル田園都市国家構想も掲げられた今、自治体を取り巻く環境をどのようにお考えですか。

後藤 今自治体に求められていることの1つは、「自治体DX」です。一般企業のDXは自社目線ですが、自治体では「住民目線」が大きなテーマとなり、住民の利便性やサービス向上にいかに繋がるかを考える必要があります。2つ目は、「地方創生・スマートシティの取り組み」です。人口減少、経済衰退などに加え、最近はSDGsの遂行も必須となり、まさに今、地域力の強化が求められています。いまや技術に精通しているだけではなく、地域DX・行政DXを推進する上で何が課題で何を見直せばいいのか、業務の棚卸しができ、かつアジャイル的に自らどんどん推進できるデジタル人材が必要となってきています。

――自治体の課題に対しての、NTT 東日本の取り組みをお聞かせください。

後藤 各地域に拠点を持つ当社は、自治体の一員として、庁内業務のDXはもちろん、教育・医療・農業・観光・防災・エネルギーなど様々な領域でまちづくりをご支援しています。システム構築やサービス提供だけでなく、情シス業務や住民問い合わせ業務、事務代行などのアウトソーシングや、高度な専門性が必要となるスマートシティ推進計画の策定やデータ利活用のコンサルティング、DX人材育成、CIO/CDO様のサポート業務も行っています。特に昨今、効率化を主目的としたIT化にとどまらず、都市OS基盤の構築、データ活用、データ技術を駆使した安心安全なまちづくり、あるいはスマート化を推進する案件が増えてきました。そういった状況を踏まえ、当社はコンサルティングからデジタルプラットフォームの構築、運用まで一気通貫で提供する新会社「NTT DXパートナー」を設立しました。

――新会社ではどのような事業を行いますか。

長谷部 「DXコンサルティング」「DX実装・推進支援」「DX推進に向けたアセットシェアリング」の3つを柱に、NTT東日本が主に通信分野で培った技術・ノウハウを非通信分野にも積極的に活用し、自治体、地域の企業、大学などのDX推進を強力にサポートします。

図 NTT DXパートナーの事業概要

出典:NTT東日本

 

「DXコンサルティング」では皆さまの事業変革やまちづくりといったDXの構想から推進計画策定を行います。また、構想や計画に基づく具体的なサービスや施策、UX(ユーザー体験)のデザインを設計するとともに、DX実行体制の確立に向け、DX人材の育成、体制整備をご支援します。

「DX実装・推進支援」では、前段で策定した施策やサービスデザインに基づき、デジタルサービスのプラットフォームや関連情報システムの設計・構築・運用を行います。また、新規事業を推進する場合などに、相応しい推進パートナーの募集や産官学の連携コミュニティのコーディネートもいたします。特に、DX推進の中で得られるデータを活用して、サービスデザインやUXの改善などに改めて結びつけていく「データからの価値創出のサイクル」を作り上げるために、データ利活用に関してもしっかり伴走支援させていただきます。

「DX推進に向けたアセットシェアリング」ではNTT東日本グループ、NTT研究所、そしてパートナーが持つDXのノウハウ・技術などをシェアリング、活用することで、DX推進のコスト抑制やスピードアップに結びつけていきます。

データ活用の価値を最大化

――「データからの価値創出のサイクル」とはどのようなものですか。

長谷部 自治体には、住民の健康や生活の質向上、産業横断での業務効率化、新たな取引による経済活性化といった目的があると思います。これらの目的達成、つまり価値創出にデータが威力を発揮しうまく結びつくように、また、データからの価値創出を繰り返しアップデートできるようにプロセスをデザインすることが重要です。例えば、住民や移住者向け情報提供サイトやマッチングサイトを導入する場合、想定した利用のされ方をしているか、利用者が求めている情報は何かがデータから分かり、提供すべき情報の見直しやサイトの改善に生かせるサイクルを組み立てていくイメージです。仕事探しを例にとると、検索やマッチング機能の利用ログデータから、利用者の希望する職種やエリアなどの潜在ニーズを掴んだり、情報伝達に最適なサイトデザインを予測するなど、利用者が求めるものや利用傾向に応じた改善策にデータが反映されていくプロセスが重要になります。データ基盤導入においては、その目的や効果を明確にしながら進めることに加え、このようなデータ活用の観点での運用プロセスや運用体制整備も非常に重要です。

DX推進においては、ビジョン策定、事業やサービスのデザインフェーズと実装・運用フェーズを相互に作用させながら、データからの価値創造の循環サイクルを作ることが、データ活用から得られる価値を最大化するための成功の鍵です。NTT DXパートナーでは、これらのプロセスをバラバラに単独ではなく、サイクルとしてワンストップでご支援します。

図 データ活用による価値創造

出典:NTT東日本

 

――NTT 東日本とNTT DXパートナーの連携により、どのような新たな価値の創造が期待できますか。

後藤 当社は世界最高水準の通信ネットワーク、それらを支える人材、設備、技術力など豊富なアセットを保有しています。何より地域の皆さまと一緒に100年を超す事業を行ってきた実績があり、地域にロングタームでコミットメントしていくことが他企業にはない特長です。昨今の地域課題は非常に複雑化し、我々だけでは解決できません。地域の産学官が一体となり、我々がそのコーディネート役として地域とともに汗をかき、豊かな社会を実現していきたいと考えています。

長谷部 この新会社は皆さまの真の共創DXパートナーとして、変革に向けて情熱を持って最後まで伴走いたします。そして、皆さまの成長・成功、その積み重ねの先にある地域産業・社会の発展、そしてそこから繋がる日本の明るい未来に貢献していく決意です。ぜひ皆さまと共に新たな価値創造をさせていただければと思います。

 

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東日本電信電話株式会社
地方創生推進部公共ビジネス担当

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