鹿児島発「GLOW UP」 5社が仕掛けた"食×人×地域"の新モデルとは
(※本記事は「協働日本」に2025年11月27日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

協働日本で生まれた協働事例を紹介する記事コラム「STORY」。
実際に協働日本とプロジェクトに取り組むパートナー企業の方をお招きし、その推進のリアルについて、インタビューを通じてお話を伺っていきます。
今回は、協働日本の主催するイベント「かごしまチャレンジャーサミット」のスピンオフ企画として生まれたプロジェクト「GLOW UP」について、企画のプロデュースや伴走支援を担当した協働プロの四元亮平氏をお招きしてお話を伺いました。
「GLOW UP」は、若潮酒造株式会社、株式会社サカナカケル(出水田食堂)、株式会社下園薩男商店、有限会社 鹿児島ラーメン、株式会社オコソコなど、鹿児島を代表する食品事業者の経営者がフラットに集い、焼酎「GLOW」と地元の食材を掛け合わせた新しい食体験を提供する立ち呑みイベントとして発足しました。
食・人・地域が循環する、新しい地域活性のモデルケースとして県内外でも注目されています。
今回のインタビューでは、協働日本との取り組みで得た変化、参加メンバーの意識の変化、今後の展望について、率直に語っていただきました。
(取材・文=郡司弘明・山根好子)

きっかけは地域の経営者ネットワーキングイベント──“必然的な偶然”で生まれたチーム
──本日はよろしくお願いいたします。まずは、改めてインタビューをお引き受けいただいた四元さんの自己紹介をお願いできますか?
四元亮平氏(以下、四元):よろしくお願いします。私は現在、PLAY Inc.の代表として、小売業界を中心にブランディングやマーケティング戦略の支援を行っています。「心が豊かになる買い物体験の創出」をビジョンに、小売業界で店舗開発からセールス、DXまでのワンストップ支援に取り組んでいます。
あわせて、協働日本のプロフェッショナル人材「協働プロ」の一員として、各地の中小企業や地域事業者のみなさんと、複数の協働プロジェクトに参画してきました。
──ありがとうございます!協働日本は、地域の事業者と多様な専門人材をつなぎ、新しい挑戦を伴走支援していくプラットフォームですが、その中でも四元さんは、現場に入り込んで事業づくりや場づくりを一緒に進めてくださっているお一人です。鹿児島県で四元さんが伴走されたイベント「GLOW UP」の取り組みが、いま県内でも注目されていると伺いました。取り組みの内容について詳しく教えていただけますでしょうか?
四元:GLOW UPは、鹿児島の“お酒と食”をもっと自由に、もっと楽しく味わってほしいという想いから生まれた、立ち呑みスタンド企画です。
協働日本のネットワークで繋がった県内の5つの事業者──下園薩男商店さん、鹿児島ラーメン みよし家さん、若潮酒造さん、だしとお茶の店 潮やさん、そして出水田食堂さんの共創企画です。
若潮酒造さんの焼酎「GLOW」を起点とし、それぞれの“こだわり”がひとつの空間に集まり、お酒と料理、会話と笑顔が溶け合う、特別な時間が生まれました。
おかげさまで、県内外の事業者様にも注目いただいているコラボレーションイベントですが、その立ち上がりの経緯もとてもユニークでした。
──企画発足のきっかけについてぜひ教えてください。
四元:きっかけは「かごしまチャレンジャーサミット」でした。「かごしまチャレンジャーサミット」は、鹿児島県主催、協働日本が企画・運営に協力しているイベントで、協働プロによるオープニングゲストトークや、鹿児島県内のチャレンジャー企業によるピッチ、県内外の参加者が織り混ざりイノベーションを目指すグループワークを行うなど、インプットとコミュニケーションの場になっています。
「業種業界を超え、参加者同士がゆるやかに繋がり、応援しあう」ことを目的としていることもあり、懇親会では参加者同士、それぞれの事業の話や次の挑戦について語り合う時間になりました。
実は、「GLOW UP」の企画も、そのときの会話をきっかけに生まれたものなんです。
※かごしまチャレンジャーサミット
鹿児島県が主導する「新産業創出ネットワーク事業」の一環として、2024年度に発足した「かごしまチャレンジャーサミット(通称:かごチャレ)」。公益財団法人かごしま産業支援センターと株式会社協働日本が企画運営を担い、県内外の参加者が互いの挑戦を知り応援し合うことで、事業創出のうねりを生み出すことを目指す取り組みです。

四元:私も協働プロとして登壇し、「売れる店舗の作り方」について講演をさせていただいたこともあり、懇親会の場で、若潮酒造の上村さん、株式会社サカナカケルの出水田さん、株式会社下園薩男商店の下田さんと、それぞれのお店の話など雑談を重ねていました。
皆さん魅力的な経営者の方ばかりだったので、せっかくこういった場があるなら活かしたい、という思いが募り、最初は「皆さんのお店の店舗診断しましょうか?」という話をしたのが始まりです。
──飲食を中心とされた事業者の方ばかりですし、四元さんの店舗開発の支援はぴったりですね。
四元:はい。私ができることとして「より良い店にするために、皆さんの店舗の現状を見て診断・アドバイスしましょうか」という気軽な会話でしたが、話を聞いた鹿児島ラーメンの西さんも、「みよし家もぜひ見てほしい!」と話に乗ってきてくださって。
この話を協働日本の村松さんに相談したら、「面白いからぜひ同行したい。かごチャレのスピンオフにしよう!」と盛り上がり、一気に実現に向けて動き出しました。

──まさに「かごチャレ」というプラットフォームが生んだ、”必然的な偶然”ですね。少しずつ仲間が増えていった形だったのですね。
四元:その通りです。「店舗診断」の参加者が増えたことで、1泊2日の行程になったので、株式会社オコソコさんの宿泊施設「ふたつや」に泊めていただきました。
皆で食事をしながら、それぞれの店舗やプロダクト、サービスについての話で盛り上がりました。私自身も鹿児島に来て皆さんのお店を回る中で、その食の魅力、価値の高さに改めて気づかされました。
実は、イベントタイトルにもなった若潮酒造さんの焼酎ブランド「GLOW」とは不思議なご縁がありました。以前、大阪で「GLOW」を薦められて飲んだことがありました。今まで好んで焼酎を飲むことはなかったのですが、「GLOW」の、焼酎の固定概念を変えるような美味しさに驚いたのを覚えています。そして、かごしまチャレンジャーサミットの際に、皆さんとご飯にいった先のお店で「GLOW」と再会したんです。
普段、ファッション業界の事業支援をおこなっている私の視点から見ても、この「GLOW」は名前やパッケージが非常にキャッチーでアイコニックな商材だと感じていました。
熱意ある経営者の皆さんと共に「ふたつや」で語り合っている時に、ふと、そんな「GLOW」を中心に皆さんが提供する地元の食材を合わせ、さらに出水田食堂さんの場所を使えば、「いい空間に、いい人が集まり交流が生まれ、ファンから発信されていく」というイメージが湧いたんです。
お話をしてみたところ、皆さんとても乗り気で「ぜひやろう!」とその場で開催日程が決まったのが「GLOW UP」企画の最初の一歩でした。

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