ロビイングとコンプライアンスと情報力が宇宙ビジネスを推進する
宇宙ビジネスはパブリックの要素が極めて強い領域である。技術開発力に加えてパブリックアフェアーズが必要だ。宇宙ビジネスに関わる政治過程に適切な影響を及ぼすためのロビイング力、法令を遵守し社会的要請に応答するコンプライアンス力、社会の趨勢と国際潮流を読み解く情報力が推進力となる。
北島 純(社会構想大学院大学社会構想研究科教授)
宇宙ビジネスにとって「パブリックアフェアーズ」はなぜ必要か。パブリックアフェアーズとは「公的関係の戦略的構築」を言う。政府にどう対応するか、社会とどう向き合うかという態勢を、場当たり的にではなく戦略的に構築するのがパブリックアフェアーズだ。歴史的に宇宙開発は国家事業として進められ、「宇宙空間における非政府団体の活動」は「国の許可及び継続的監督を必要とする」(宇宙条約6条)。宇宙開発を民間ビジネスが主導する今日でも、公的関係の構築が重要となる基本は変わらない。
宇宙ビジネスのような先端的な新興産業分野では、技術力・開発力と並んで、パブリックアフェアーズが重要となる。我が国が誇るH-IIBのような二基のエンジンを持つクラスターロケットを想起してもらいたい。何よりも重要なのは技術開発力だが、それを一番目のエンジンとした場合、二番目のエンジンとなるのがパブリックアフェアーズだ。技術開発力があるからといってパブリックアフェアーズがなければ、宇宙に達することは難しい。宇宙ビジネス市場で商機を掴み持続的な競争力を維持するには双方の推進力が必要となる。
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