2020年11月号
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動き出した スーパーシティ構想

国家戦略特区におけるスーパーシティ

八田 達夫(アジア成長研究所 理事長・所長)

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スーパーシティ構築を可能にした改正国家戦略特区法。従来の特区制度との大きな違いは『データ基盤』を核に複数の規制改革を実施できる点だ。特区ワーキンググループ座長、特区諮問会議議員を務める八田達夫氏に解説いただいた。

八田 達夫(アジア成長研究所 理事長・所長)

規制を外し、
複数の異なる事業を実現

2020年6月に国家戦略特区法が改正、公布され、特区において「スーパーシティ」が可能になった。この秋には募集が始まる。

近年、AIやデータ活用の技術が急速に進歩し、医療・教育・交通などさまざまな分野で、全く新たなサービス展開が可能になった。しかし、これらは各種の法規制に引っかかる場合が多い。また、自治体や自治体内の地区でデータ基盤を構築すること自体も、規制によって制約される場合が多かった。

スーパーシティは、特区内の地区では規制の制約を取り除き、地区内で一つのデータ基盤を活用した各種新事業を可能にしよう、というものである。例えばアメリカのカリフォルニア州では、一定の地区内で、個人の医療情報を集中的に管理し、それを用いた遠隔診療や遠隔処方が行われている。このように、一つの共通データ基盤を構築することによって、複数の異なる種類の事業ができるようになるのが、スーパーシティの特色である。

従来の仕組みよりも
改革遂行がしやすく

スーパーシティは国家戦略特区法で可能になるものだが、まずは「国家戦略特区」というものがそもそも何であるかを、参入規制の緩和を例にとって紹介しよう。

消費者の長期的な利益の観点から障害になる参入規制は多い。しかし参入規制を外すと競争の結果価格が下がるから、消費者と新規参入者は得をする一方で、既存の事業者は損をしてしまう。この状況では、既存事業者は規制緩和に反対して、政治家を通じて官庁に圧力をかけるために、国民全体にとって望ましい改革が妨げられる場合が多くあった。

このような場合に、総理が議長を務める国家戦略特区諮問会議は、どうしても改革ができないという規制官庁の大臣を会議に招いて、特区の民間議員と議論してもらい、その内容をふまえ最終的に総理が判断を行うことによって、必要な改革を進めてゆく。これが国家戦略特区での改革遂行の仕組みである。したがって、規制官庁側が抵抗すればそれで改革ができなくなるという従来の仕組みから数歩前進した仕組みとなっている。

なお、特区において規制改革が行われる場合には、従来の法律や規制はそのままにして、特区法の中で例外規定を設ける。例えば、農地法で株式会社の農地保有が禁止されている状況では、農地法はそのままにして、特区法のなかで新たに「特区内においては、農地法の当該条文は適用されない」と定めるのである。そして特区法のほうで、農地法の当該条項の代わりとなる条項を作る。

この方式によって、株式会社による農地保有が、兵庫県の養父市の国家戦略特区で実現された。また保育士試験は、従来は年1回だけ全国統一で行われていたが、特区に選ばれた保育士不足の自治体では、年に2度、3度と試験を行えるようになった。これは全国の特区でも直ちに活用された。さらには特区で始まったが、最終的には特区を越えて、全国で活用されるようになった規制改革もある。

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