経済産業省 DXで行政サービス改革を支援
新型コロナ禍の補助金申請などの手続きで、行政における情報インフラ整備の重要性が再認識された。経済産業省の情報プロジェクト室では、中央省庁のみならず地方自治体の業務にもテクノロジーを積極活用し、ユーザーフレンドリーな行政サービスの実現を目指している。
経済産業省にDX(デジタル・トランスフォーメーション)室ができたのは2018年8月。"電子化"ではなく、デジタル技術やデータの力を最大限活用し、ユーザーの利便性向上、オペレーションの最適化を図ることを目指している。
経済産業省は、事業者向け行政手続を改革する法人デジタルプラットフォームを進めている。「2020年1月に運用を始めたのが補助金申請システム『Jグランツ』です(図1)。補助金ごとに別々にシステム化するのではなく、1つの汎用性あるシステムとしてプラットフォーム化しました。経済産業省だけでなく、他省庁や自治体も使えるので、システムを開発する手間とコストを削減できます。共通システムなので、過去に補助金申請を行ったユーザーは、次回以降、登録済みデータが申請フォームに自動入力されます。さらに、Jグランツは、様々な行政手続を1つのIDで行うことを可能とする事業者認証サービスの『GビズID』を活用することで、認証の手間を軽減しています。既に厚生労働省の社会保険手続などで活用されており、自治体の行政手続にも展開していく予定です」と吉田氏は説明する。
図1 補助金申請のデジタル化(Jグランツ)
オープンデータ、オープンソースが
新しい価値を生み出す
行政サービスの分かりやすさの向上は従来から求められていたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を機に、提供スピードの向上やそれを実現するためのオープン化に注目が集まった。経済産業省は中小企業支援総合サイト『ミラサポplus』を2020年4月にオープンした。そのサービスの1つである「制度ナビ」は国の支援制度を検索できるが、単に日常的な情報を提供するだけでなく、COVID-19対策として関連支援情報をいち早く集約し公開した。支援情報のフォーマットを標準化し、オープンデータ化したため、東京都や民間企業のヤフーなどは、このデータを利用し支援検索サービスの提供を迅速に行うことができた。
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