保育園が地域社会のインフラになる 「まちの保育園」

2011年度グッドデザイン賞を受賞した「まちの保育園 小竹向原」を始めとするナチュラルスマイルジャパンの松本理寿輝さんが経営する保育園・こども園は、まちづくりの観点からも注目が集まっている。その背景と魅力を解き明かしたい。

文・矢島進二 日本デザイン振興会

2011年に開園した練馬区小竹向原園。左手ガラス張りのスペースが「まちのパーラー」

六本木園にある「まちの本とサンドイッチ」。左手が園の入口

少子化が進んでいるにも関わらず、保育所へのニーズが近年高まり、待機児童が大きな社会問題になっている。こうした中、東京の中心で「まちの保育園」と名付けた保育園を6年前から展開しているのが、松本理寿輝さんだ。松本さんは1980年生まれ。博報堂を経て駐車場の空中活用をメインとするベンチャーを起業したあと、2010年に保育園を経営するためにナチュラルスマイルジャパン株式会社を創業。2011年の練馬区「まちの保育園 小竹向原」を皮切りに、2012年に六本木、2014年に吉祥寺、そしてこの4月に「まちのこども園 代々木上原」を開園した。

松本 理寿輝(ナチュラルスマイルジャパン 代表取締役)

地域に開いた保育園をつくる意味

「保育園や幼稚園で働く人も、家庭でも、子育ての場は女性によって支えられています。『イクメン』などが話題になったとはいえ、父親の育児時間は平均40分程度です。人格形成期にあたる6歳までに、多様な人間と良い出会いを持てることが望ましいのですが、大きな偏りがあるのです」と松本さんは認識し、その問題を「保育園を地域に開き、子どもたちと老若男女な様々な人との出会いをつくることで少しでも改善していきたい」と考え実践している。

そのため「まちのパーラー、まちのま(小竹向原)」、「まちの本とサンドイッチ(六本木)」、「まちのガーデン(六本木)」などと称したスペースを園の中に設け、外部社会を取り込んでいる。

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