地域企業の収益力を高めるバリューアップDX 高付加価値化を実現する三つの実践ポイント

(※本記事は「関東経済産業局 公式note」に2026年7月13日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

ビジネスの高付加価値化へ ― バリューアップDXの考え方と実践ポイント

DXとは何か―段階的に進むデジタル活用

DXは、デジタル技術を活用しながら企業や組織を変革し、ビジネスの高度化を目指す取組です。

身近な業務のデジタル化から始まり、段階的に活用を広げていくことで、大きな効果につながります。

企業のデジタル活用は大きく4つの段階に整理できます。

まず、未着手の段階では、FAXや電話、紙による業務が中心で、デジタル化の効果は発現していません。

次のデジタイゼーション、さらにデジタライゼーションでは、在庫管理システムや顧客管理システムなどの活用を通じて、データに基づく業務改善が実現されます。

そして最終段階がDXです。ここでは、蓄積されたデータをもとに販路拡大や新商品開発を行い、ビジネスモデルそのものの変革や競争力強化へとつなげていきます。

デジタル活用段階のフェーズ
デジタル活用段階のフェーズ(※画像クリックで拡大)

中堅・中小企業のDXの現状

中堅・中小企業におけるDXの取組は進みつつありますが、その多くはまだ業務効率化の段階にとどまっています。

具体的には、未着手が12.5%、デジタイゼーションが52.3%、デジタライゼーションが32.0%であるのに対し、DXの段階に到達している企業は3.2%にとどまっています。

このことから、デジタル化自体は進展しているものの、企業価値の大きな向上につながる「DX」の領域には、まだ十分に到達していない状況が見て取れます。

労働生産性や売上高といった観点でも、DXの段階に進むことが重要な鍵となります。

バリューアップDXの考え方

当局では、こうした課題を踏まえ、「バリューアップDX」という考え方を提示しています。

これは単なる効率化やコスト削減にとどまらず、既存事業の高度化や新規事業の創出を通じて、企業全体の収益力を高める取組です。

従来のDXの多くは、「業務の効率化」や「コスト削減」に焦点が当たっていました。

これに対し、バリューアップDXは、その先にある「価値創出」に主眼を置きます。

具体的には、顧客ニーズに応じた高品質な製品・サービスの提供、供給体制の強化、新たなビジネスモデルの構築などを通じて付加価値を高めていきます。

さらに、こうした取組によって生まれた余力を、新たな事業展開に活用することも重要です。

加えて、組織文化の変革も不可欠です。

社員の自律性や改善提案力を高め、データに基づく意思決定を進めることで、企業全体の競争力向上につながります。

その結果として、収益力の向上に加え、賃上げや雇用拡大、設備投資の活性化といった好循環が生まれます。

バリューアップDXの考え方
バリューアップDXの考え方(※画像クリックで拡大)

調査結果から見える課題と方向性

令和7年度に実施した調査では、DXに取り組む企業の多くが、依然として業務効率化に留まっていることが明らかになりました。

企業側では、効果が見えやすい効率化に偏り、部分最適にとどまるケースが見られます。

また、リソースやノウハウの不足により、高付加価値化に踏み込めないという課題もあります。

一方で支援者側も、DX手前のデジタル化に関する支援が中心であり、高付加価値化に向けた支援ノウハウの蓄積が十分ではありません。

こうした状況を踏まえ、今後は「収益向上につながる高付加価値化」へと取組の重点をシフトしていくことが求められます。

バリューアップDX推進のためのポイント

調査を通じて、高付加価値化を実現するための重要なポイントとして、以下の3点が整理されました。

1つ目は、バリューアップDXの理解です。

単なるデジタル化ではなく、価値創出を目的とする取組であることを明確にする必要があります。

2つ目は、経営ビジョンや戦略の策定です。

バリューアップを意識して経営ビジョン・戦略を発信し、経営者が主体的に推進することが成功の確度を高めます。このとき、経営者と現場の橋渡し役を担える社内のキーマンの巻き込みも重要な要素です。

3つ目は、外部支援者の活用です。

経営ビジョン、戦略策定等の上流工程について、外部支援者による専門的な知見を取り入れながら、取組を加速させていくことが効果的です。

バリューアップDX推進のポイント
バリューアップDX推進のポイント(※画像クリックで拡大)

推進ポイント集の公表と今後の支援

こうした知見を踏まえ、当局では2026年5月15日に「バリューアップDX推進ポイント集」を公表しました。

企業や支援機関がDXを通じて価値創出を実現するための実践的な指針として活用いただくことを想定しています。

さらに、バリューアップDXを担う外部支援者との連携を強化し、企業と交流する機会の創出にも取り組んでいきます。

具体的には、交流会の開催を通じてネットワーク形成を支援し、その後のフォローアップも含めて継続的な関係構築を進めます。

おわりに

DXは「効率化」で終わるものではなく、「価値を高める」段階に進むことで初めて大きな成果につながります。

バリューアップDXは、そのための道筋を示すものです。

当局としては、地域企業がこうした取組を着実に進め、「稼ぐ力」を強化できるよう、引き続き支援を展開していきます。

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関東経済産業局 公式note