金融庁「FinTech実証実験ハブ」案件、トークン化預金の銀行間決済に43社参加
株式会社DCP、GMOあおぞらネット銀行株式会社、アビームコンサルティング株式会社の3社は、金融庁「FinTech実証実験ハブ」の支援案件「トークン化預金の銀行間決済」に43社が参加したと2026年8月26日に発表した。本案件は2026年4月3日に採択され、8月20日には参加企業と関係者が集まり、本格的な検証を開始している。
トークン化預金(Tokenized Deposit、以下TD)やステーブルコイン(Stablecoin、以下SC)など、ブロックチェーン技術を活用した新しい「オンチェーン」決済が、世界的に急速に社会浸透している。オンチェーン(On-chain)とは、ブロックチェーン上で実行・記録される高速・低コストの取引を指す。その際に論点となるのが、マルチバンク対応である。複数の銀行が預金をトークン化し、銀行間をまたいでユーザーがTDを移転できるようになると、その銀行間決済をどのような方法で行うかが論点となる。
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日本国内でも、既に複数の銀行でTDの発行やその対応が始まっており、この論点は社会課題となっている。3社は、「オンチェーンで行われたユーザー間の取引は、銀行間の決済もオンチェーンで完結させる」ことを軸に検証を進めている。すべての取引を24時間365日の即時グロス決済(RTGS)とすることで、新たなビジネス機会の創出や決済コスト・決済リスクの低減につながるかどうかを、適法性、有用性、実現性の観点から確かめる。
検証する実現方式は2つある。1つは、民間銀行の1行が幹事行となり、TD上のユーザー間送金と幹事行内におけるTD上の銀行間決済を同時に行う「TD幹事行方式」。もう1つは、TD上のユーザー間送金にかかる銀行間決済をSCの活用によって行う「TD-SC連携方式」である。これらに加え、TDの銀行間決済を既存の決済システムと連携させる方式も検討していく予定だ。
本案件は、株式会社DCPが申請代表、GMOあおぞらネット銀行株式会社が代表銀行、アビームコンサルティング株式会社が事務局を担う体制で進めている。参加銀行には、株式会社横浜銀行や株式会社りそなホールディングス(株式会社りそな銀行)、株式会社東京きらぼしフィナンシャルグループ(株式会社きらぼし銀行、株式会社UI銀行)、株式会社ふくおかフィナンシャルグループ(株式会社福岡銀行、株式会社みんなの銀行)などが名を連ね、実証実験で生じた検証仮説への見解を示す立場で加わる。さらに、株式会社あいち銀行や株式会社千葉銀行、株式会社広島銀行、株式会社京都銀行などがオブザーバーとして加わり、任意で質問や見解、懸念点を提示する立場で関与する。申請3社、参加銀行、オブザーバーを合わせた参加企業数は43社にのぼる。
日本銀行の植田和男総裁は2026年3月3日、「FIN/SUM(フィンサム)2026」における挨拶の中で、中央銀行マネーのトークン化の可能性を検討していく考えを示した。政府も2026年7月21日、「経済財政運営と改革の基本方針2026」(骨太方針2026)を閣議決定し、成長を支える資金供給の促進策の一つとして、TDを含むオンチェーン金融の推進を図ると言及した。3社は、日銀総裁の発言や骨太方針2026の閣議決定といった政策動向を注視しながら、今後の議論や検証に積極的に関わっていく方針を示している。