インドと関西の関係深化 万博成果で拡大する中小企業連携とビジネス交流の未来像
(※本記事は経済産業省近畿経済産業局が運営する「公式Note」に2026年4月13日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

今回は、在大阪・神戸インド総領事館のチャンドル・アッパル総領事に、万博の成果や関西での今後の取組に関する展望を伺いました。なお、本記事の内容は、インタビュー実施時点(2026年2月)の情報に基づいています。また、掲載している写真は、在大阪・神戸インド総領事館よりご提供いただいたものです。
日印関係の飛躍的な深化もたらした万博
Q:万博期間中の最も重要な成果は何でしたか?
万博は、日印パートナーシップに新たな推進力をもたらしました。従来であれば数年を要したであろう両国間協力が、万博を契機としてわずか半年で大きく前進し、関係深化のスピードが飛躍的に高まりました。
8月にはモディ首相が訪日し、日印首脳会談において特別戦略的グローバル・パートナーシップの深化に向けた多数の成果文書が発表されました。これらは日印両国が目指すべき今後10年の協力の方向性を定め、双方の関係性をさらに強固にするものであり、万博が後押しした重要な外交的成果だと受け止めています。
実際、インドからは数多くのビジネス代表団が関西を訪れ、地域の産業界との密度の高い交流が次々と実現しましたし、関西にとどまらない全国的な波及効果も生まれました。こうした動きを支えたのは、大阪商工会議所、関西日印協会、在日本印度商業会議所、日本インド文化経済センターなどの地域の経済団体との緊密な連携であり、そのネットワークこそが日印間の交流を前に進める大きな役割を果たしました。
また、文化・ウェルネス分野でも、日印の距離を一段と縮める体験が数多く生まれました。インド・パビリオンでは毎日3〜4回の文化公演が開催され、来場者は古典舞踊からボリウッドまで多様な文化に触れることができました。ヨガやアーユルヴェーダにも力を入れ、毎日2回のヨガセッションには延べ1万8千人以上が参加しました。万博終了後も継続を望む声が寄せられるなど、体験を通じたインドへの信頼が醸成されたことも大きな成果です。
このように、政治・経済・文化・人と人のつながりに関して、あらゆる取組が詰め込まれ、まさに「新幹線のようなスピード」で進んだ6か月でした。

想像を超えた文化交流とビジネス交流の混ざり合い
Q:印象的なエピソードや取組があれば教えてください。
今回の万博では、文化面とビジネス面の交流が相互に補い合い、日印関係の新たな可能性が広がりました。
文化面での印象的な取組のひとつが、インドの米を使った寿司づくりというユニークな試みでした。農業・加工輸出促進機構(APEDA)から多品種のインド米を取り寄せ、日本人シェフがインド・パビリオンで日本の技法に基づいて握り寿司を提供しました。素材はインド、調理は日本式という掛け合わせが来場者の関心を集め、「味の違いが面白い」「おいしい」といった好評を得ました。この取組は、文化交流としての意義に加え、米の輸入可能性や日印共同事業といった経済的な広がりを可視化した点でも、大きな意義を残しました。
また、8月15日のナショナルデーも印象的でした。日本のアーティストや愛好家らがインドの音楽や舞踊を高い水準で体現する姿に、観客のインド人からも感嘆の声が上がりました。舞台上で表現されたのは、単なるパフォーマンスではなく、言語や文化を越えた理解と敬意そのものであり、文化を通じて人と人の距離が縮まったことを強く実感する機会となりました。
こうした文化面での高まりと並行して、会期中には200件を超えるビジネスイベントが精力的に実施されました。インド工業連盟(CII)やインド商工会議所連合会(FICCI)の代表団、さらにはウッタル・プラデーシュ州の財務大臣らの来阪に合わせ、パビリオン内だけでなく大阪市内の別会場でもセミナーや交流会を開催しました。また、大阪商工会議所やJETROと連携し、製造業、ヘルスケア、中小企業などテーマを絞ったマッチングを行うとともに、訪問プログラムの随所に関西の強みを実感していただける工夫を盛り込みました。こうした取組の積み重ねにより、来訪者にとっても関西の魅力を深く理解する機会となり、期待を超える成果へとつながりました。

インドと関西の中小企業連携の未来―ノイズを減らし、正確に伝えることが鍵
Q:今後、関西で国際交流やビジネス促進のための取組を予定されていますか?
関西には、ヘルスケア、精密加工、地域によっては半導体・電子分野など、多様で競争力の高い産業基盤が形成されており、とりわけ優れた中小企業が数多く集積しています。こうした強みがそろっているからこそ、インドと関西の間で新たなビジネス機会を育てていきたいと考えています。
そのような取組を推進する意味においても、8月に日印首脳間で採択された「今後10年に向けた日印共同ビジョン」の中で、「インド・関西ビジネスフォーラム」及び「日印中小企業フォーラム」の立ち上げが打ち出されたことには、大きな意義があります。これまでも両国間では大企業を中心に交流が活発でしたが、これからの10年は中小企業の役割が一段と重要になります。とりわけ、中小企業に厚みを持つ関西にとっては、大きな追い風となることは間違いありません。
インドと関西の新たな連携機運を受け、関西では少なくとも月2回のセミナーを継続して実施しています。あわせて、関係団体・業界と連携した情報発信、ビジネスマッチングなどの商談機会の創出、地域企業への個別訪問という三つの柱を並行して進めます。これらの取組を通じて、「今日のインドは昨日のインドではない」という急速に進化するインドの姿を継続的に伝えていきます。
その際に重視しているのは、可能な限りノイズを減らし、正確な情報を届けることです。インドは多様性に富み、地域ごとに言語・文化・価値観・産業構造が大きく異なります。したがって、インドを特定のイメージで一括りにせず、地域ごとに焦点を定めて正確な情報を提示することが、日印間のビジネスを促進する鍵となります。今後は、こうした視点のもとでビジネス連携を軸とした協力を進めることで、教育、人材育成、人的交流といった分野へも自然に広がりが生まれ、結果として、5年後、10年後には、インドと関西の関係は一段と大きな深化を遂げていくことでしょう。

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- 近畿経済産業局 公式note