骨太方針2026閣議決定、17分野に官民投資 投資枠を創設 強い経済築く
2026年7月21日、2026年度の「骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)」と「日本成長戦略」を政府は閣議決定した。「骨太の方針」では、「強い経済」を実現するための政策枠組みの転換を打ち出した。一方で、6月に原案を公表したのち、円安・金利上昇が進んだこともあって、中央銀行の独立性を明示するため、脚注に「日本銀行法第3条に基づき、金融政策の具体的な手法については日銀に委ねられる」との文言が加筆された。
日本成長戦略では、17の戦略分野・62の主要な製品・技術などに関する「官民投資ロードマップ」や、8つの分野横断的課題に対する対応方針など、国内投資を拡大していくための道筋を示している。同日の経済財政諮問会議・日本成長戦略会議の合同会議で、高市早苗総理大臣は民投資ロードマップについて「17の戦略分野についてワーキンググループを設置し、学識経験者や企業関係者など延べ186人が54回に及ぶ議論を重ねた。過去の産業政策は官主導と言われ、政府に目利きができるのかと言われたが、今回は産学官で練り上げたもの」と説明した。今回のロードマップでは、優先的に投資すべき62の「主要な製品・技術等」を特定、多角的な観点からの総合支援策や、国内投資の内容、規模などを記載している(表参照)。
| 戦略分野 | 製品・技術分野 | 投資額(記載がない場合は2040年度まで) | 投資による経済波及効果(記載がない場合は2040年度まで) |
| AI・半導体 | フィジカルAI(特にAIロボット) | 10.5兆円 | 144.4兆円 |
| フィジカル・インテリジェント・システムの中核を担う半導体 | 68.0兆円 | 443.3兆円 | |
| バーティカルAI(領域特化型AI) | 23.1兆円 | 222.0兆円 | |
| デジタル・サイバーセキュリティ | セキュリティの確保された政府・地方公共団体のAX/DX基盤 | 7.4兆円(2035年度まで) | 10.9兆円(2035年度まで) |
| クラウド・データセンター、蓄電池 | 32.7兆円(2035年度まで) | 107.1兆円(2035年度まで) | |
| 自動運転技術 | 8.2兆円 | 187.3兆円 | |
| 情報通信 | オール光ネットワーク (APN : All-Photonics Network) | 5.9兆円 | 36.2兆円 |
| 量子 | 量子コンピューティング | 10.3兆円 | 127.5兆円 |
| 防衛産業 | デュアルユース技術 | 4.3兆円 | 117.7兆円 |
| 合成生物学・バイオ | バイオものづくり | 12.8兆円 | 66.7兆円 |
| バイオ医薬品・再生医療等製品等 | 20.8兆円 | 174.9兆円 | |
| 創薬・先端医療 | ファーストインクラス製品・ベストインクラス製品(医薬品、再生医療等製品) | 23.4兆円 | 162.1兆円 |
| 革新的デバイス(AI、ロボティクス等)を活用した先端医療 | 11.6兆円 | 105.8兆円 | |
| 資源・エネルギー安全保障・GX | 水素等 | 6.2兆円 | 85.3兆円 |
| GXケミカル | 3.2兆円 | 75.5兆円 | |
| コンテンツ | ゲーム | 24.5兆円(2033年度まで) | 191.4兆円(2033年度まで) |
| アニメ | 3.3兆円(2033年度まで) | 93.5兆円(2033年度まで) |
これらの施策の裏付けとして、「中長期経済財政計画」では、補正予算依存からの脱却に加え、複数年度にわたる予算や基金ルールの抜本的な見直しを実施するとした。また、通常歳出とは別に、『「強く豊かな日本」投資枠』を創設する。
地域未来戦略で、戦略的に産業クラスターを形成
21日に閣議決定されたもう一つの重要な戦略が、「地域未来戦略」だ。計画期間は2030年度までで、強い地域経済の構築を目標としている。この中には、地方に大規模な投資を呼び込み、各地に産業クラスターを戦略的に形成していくための「戦略産業クラスター計画」が盛り込まれている。この計画は、17の戦略分野に関連する企業の大規模投資を起点に産業クラスターを形成するもの。ブロックごと、各地方経済産業局が中心となって「戦略産業クラスター有識者検討会」で計画の素案を策定し、都道府県が候補プロジェクト案件を国に提案、それを受け付けた国が計画を策定する。地域未来戦略に基づく投資は、「強く豊かな日本」投資枠も活用する。計画の実現に向けては、産業クラスター形成に必要な各種インフラ整備に加え、鉄道や造船ドック、ロケット射場のような民間クラスター拠点の整備を進める。17の戦略分野を支えるサプライチェーン投資も、各計画地域から具体的に提案されるものについて、既存の予算とは別枠で大胆に進める、としている。
「地域未来戦略」については、この他に都道府県や基礎自治体が、「地域資源」を活用・発展させる計画を策定し、クラスターを形成する「地域産業クラスター計画」と「地場産業成長プラン」を実施、「三類型」で推進する計画だ。
今後、これらの戦略を踏まえて、政府は「日本成長戦略実行計画」や「地域未来戦略予算パッケージ」を取りまとめる。
