【7月21日赤澤亮正経産大臣会見詳報】実質賃金1%上昇目標 成長投資ガイダンスで明記

経済産業省の赤澤亮正経済産業大臣(原子力経済被害担当・GX実行推進担当・産業競争力担当・中東情勢に伴う重要物資安定確保担当・内閣府特命担当大臣〈原子力損害賠償・廃炉等支援機構〉)は、2026年7月21日の閣議後記者会見で、企業の成長投資を後押しする新指針「成長投資ガイダンス」の公表を明らかにした。同日には政府の「日本成長戦略」も閣議決定され、経済安全保障に関わる重点分野への投資策が動き出している。会見では中東情勢についても質問が出され、緊迫化する紅海情勢への懸念が示された。

賃上げを起点に成長投資促す

経済産業省は、金融庁と東京証券取引所が進めるコーポレートガバナンス・コードの改訂と歩調を合わせ、「成長投資ガイダンス」をとりまとめた。策定の土台となったのは、2025年11月21日に閣議決定された「『強い経済』を実現する総合経済対策」である。ここでコード改訂と併せて実務指針を策定する方針が盛り込まれ、経済産業省の産業構造審議会・価値創造経営小委員会(座長・沼上幹早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター教授)が具体的な検討を進めてきた。パブリックコメントを経て、この度公表に至っている。

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ガイダンスが挙げる課題は主に三つだ。欧米企業と比べて賃上げを含む成長投資の水準が見劣りすること、企業の成長段階に応じた投資と株主還元のバランスを欠くこと、そして本来は売却や再編を検討すべき低収益事業、いわゆる「価値毀損セグメント」に資本が滞留したままになっていることである。こうした構造的課題を踏まえ、ガイダンスは資本効率を改善したうえで、資本コストを上回る投資機会へ資本を戦略的に振り向けるよう企業に求めている。

赤澤大臣は会見で、実質賃金を年1%程度上昇させることを社会の「当たり前」の水準として定着させる目標を掲げているとし、労働供給が制約される社会において賃上げは単なる分配策ではなく、人材確保や生産性向上投資を促す「供給力強化政策」そのものだと説明した。そのうえで、賃上げこそが成長戦略の起点であるという位置づけを、ガイダンスに明記したと強調している。実質賃金はここ数か月プラス基調が続いており、大臣はこの流れを腰折れさせないよう、中小企業の稼ぐ力強化を含めた取り組みを一段と強める考えを示した。

戦略17分野に官民370兆円投資

赤澤大臣の会見と同じ7月21日、政府は経済財政諮問会議と日本成長戦略会議の合同会議での議論を経て、「日本成長戦略」を閣議決定した。国内投資の不足を補うため、勝ち筋となる17の戦略分野と62の主要な製品・技術等を特定し、分野ごとに官民投資ロードマップを策定した内容となっている。2040年度までに官民合わせて370兆円を超える投資を目指す計画だ。

会見で大臣は、ビッグデータとAIを組み合わせた分野に日本の強みがあるとの認識を示した。超高齢社会かつ災害の多い国土という特性が、かえって高齢者や防災に関する大量のデータを集めやすい条件になっているという説明である。加えて、世界有数の製造現場や、世界で唯一とされる原子力発電所の廃炉現場を持つことも強みに挙げ、これらのデータをAIと掛け合わせてフィジカルAIやロボティクスの基盤を築く方針を語った。開発と社会実装を世界に先駆けて進めるため、経済産業省として全力で取り組む考えを述べている。

予算面では、上限を設けない新たな投資枠「強く豊かな日本」投資枠が創設される見通しだ。大臣は、産業界との連携を密にしながら実効性のある施策を練り上げ、今後の概算要求に反映させる意向を示した。

紅海封鎖でエネルギー供給に懸念

会見では中東情勢についての質問も出た。イエメンの反政府勢力フーシ派は7月20日、サウジアラビアに対する海上封鎖を宣言し、紅海南部の要衝マンデブ海峡(バブ・エル・マンデブ海峡)を対象とする方針を示している。フーシ派側は、自らが支配するイエメン北西部の港湾や空港をサウジアラビアが封鎖したことへの報復だと説明した。同海峡はホルムズ海峡が使えなくなった場合の代替ルートとしても位置づけられており、日本の原油調達への影響が懸念される事態となった。サウジアラビア外務省はこの宣言を強く非難し、自国船舶を守るための措置を講じる考えを表明している。

赤澤大臣は、フーシ派がどのような形で封鎖を実施するのか不明な点が多いとしたうえで、影響を予断を持って語ることは避けたいと述べた。それでも中東情勢の悪化については深刻に受け止めており、重大な関心を持って事態を注視していると説明している。原油や石油製品について、日本全体で必要な量は現時点で確保できているとしつつ、供給の偏りや流通の目詰まりが生じていることも認め、一つずつ解消に向けて対応を続ける考えを示した。

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