旅費業務から始めるDX 経費精算の手間を省き、その先の経営変革へ

職員減少や法改正への対応に追われる日本の自治体。株式会社コンカー(以下、コンカー)代表取締役社長の橋本祥生氏が、生成AIとビッグデータで実現する「経費精算のない世界」とその先の経営変革を語った。

橋本 祥生 コンカー 代表取締役社長

事業構想大学院大学が主催する大学・自治体向けビジネスカンファレンス『SAP Concur Fusion Exchange 2026 JAPAN – Public Deep Dive –』。コンカー代表取締役社長の橋本祥生氏は、Public Day「自治体DXの現在地と未来」の開会にあたり、まず自社の現状を紹介した。

SAP Concurは全世界で約1億人以上が利用し、16兆円超の経費を処理するデファクトサービスであり、国内時価総額TOP100のうち69社に採用されている。日本国内では政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)に経費管理分野のSaaSとして初めて登録された。国内の公共領域でも、すでに67団体の自治体・独法・大学と効果試算プロジェクトを実施している。

生成AI時代における同社の優位性として「強力なAI基盤」「データ」「経験とナレッジ」の3点に整理。「SAP Concurは経費精算市場では30年以上の実績があります。これまで生み出されてきた年間10億件の経費明細、3000万件の出張データを基盤に、信用・信頼できる生成AIサービスを提供していきます」と話した。

より簡便な経費精算を実現する
信用・信頼できるビッグデータ

そのうえで橋本氏は、同社の中期ビジョン『Vision 2028』として「経費精算のない世界のその先」を示した。それは経費が経営を変える世界だという。AI不正検知サービス「Verify」やAIコパイロット「Joule」、AIエージェントを活用し、まずは画面操作を介さずに経費精算業務が完了する世界を目指す。

その後に続く自律運用フェーズでは、システムの導入・設定・運用作業までもAIが自動・対話で対応。人の手を介さない、究極の業務効率化とガバナンス強化、自律運用を実現する。さらに最終段階では、経営に資する戦略インサイトとして、「出張旅費の日当、ホテルの宿泊上限、航空機のクラスなどのビッグデータからコスト最適化を提案していきます」。

続いての話題は、日本国内の自治体が抱える課題だ。OECD加盟国の雇用者数に占める公務員の割合は、OECD平均が18.6%であるのに対し、日本は4.5%にすぎない。地方公務員の若手離職者数も、25歳以上30歳未満を中心に増加傾向にある。

これらを踏まえ「現在、自治体は職員数の減少を含めた3つの大きな課題を抱えています」と現状を分析する。第1に「2040年問題」と呼ばれる職員数の減少、第2にデジタル化の遅れ、第3に2025年4月の旅費法改正をはじめとする法制度・規制への対応だ。

「業務のデジタル化を進めることで、50%以上の業務効率化が期待されることを、10自治体での実証実験を通して確認できています。民間企業向けのサービスで培った間接費業務DXのノウハウにより、日本の公共団体の競争力強化に寄与できると考えています」と強調する。

最後に同氏は「AI社会はすでに始まっています。近い将来、経費精算業務自体がなくなる」と展望した。実現の鍵は信用・信頼できるビッグデータの存在と「Fit to standard」、すなわちシステムの標準機能に業務を合わせる考え方だ。これを実現することで、AIが自律的に業務を処理することが可能になる。

「AI活用はもはや当たり前。経営層には、単なる改善ではなく、AI前提で業務を再構築するマインドセットが重要になります」と締めくくった。

※SAP、SAPロゴ、記載されているすべてのSAP製品およびサービス名はドイツにあるSAP SEやその他世界各国における登録商標または商標です。またその他記載された会社名およびロゴ、製品名などは該当する各社の登録商標または商標です。